塩酸バンコマイシン投与患者の腎機能に及ぼす抗菌剤の影響
「はじめに」塩酸バンコマイシン(VCM)はMethicinin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)等のグラム陽性菌にのみ抗菌作用を有していることから, グラム陰性菌や真菌等の混合感染患者では他の抗生物質, 抗真菌剤を併用しなければならない場合が生じる. また, in vitro試験において, VCMと併用することにより, MRSAへの相乗効果, 相加効果を示す抗生物質があることが報告されており1, 2), 治療効果を高めるために, 併用されることもある. しかし, VCMは腎障害等の有害作用を有し3-6), アミノグリコシド系抗生物質との併用により腎障害...
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Published in | 病院薬学 Vol. 25; no. 6; pp. 608 - 613 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医療薬学会
10.12.1999
日本病院薬学会 |
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Summary: | 「はじめに」塩酸バンコマイシン(VCM)はMethicinin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)等のグラム陽性菌にのみ抗菌作用を有していることから, グラム陰性菌や真菌等の混合感染患者では他の抗生物質, 抗真菌剤を併用しなければならない場合が生じる. また, in vitro試験において, VCMと併用することにより, MRSAへの相乗効果, 相加効果を示す抗生物質があることが報告されており1, 2), 治療効果を高めるために, 併用されることもある. しかし, VCMは腎障害等の有害作用を有し3-6), アミノグリコシド系抗生物質との併用により腎障害が14-35%発症し3, 4), 動物実験においてもアミノグリコシド系抗生物質併用による腎障害の増悪が報告されている3, 7-10). そこで, われわれは腎障害作用に対する感受性の高い家兎を用い, 臨床において併用する可能性のある数種の抗生物質および抗真菌剤を, 腎障害を発症させる投与量のVCM300mg/kgと併用し, VCMの体内動態,腎機能障害に及ぼす影響を検討した. その結果, イミペネム/シラスタチンナトリウム(IPM/CS), フロモキセフナトリウム(FMOX), ホスホマイシンナトリウム(FOM), 塩酸ミノサイクリン(MINO)等の併用により, 腎障害は軽減され, セフタジジム(CAZ), フルコナゾール(FCZ)併用では影響はみられず, セフピミゾールナトリウム(CPIZ)併用では増悪する傾向が認められた11-14). また, 組織学的検査(光顕電顕)からも同様の結果が得られている11-14). また, 永井ら15)は家兎においてVCMとピペラシリンナトリウム(PIPC)を併用し, VCMの腎障害が軽減されたことを報告している. そこで, 臨床においても同様な併用効果が発現しているか否かを検討する目的で, 当院の入院患者を対象にretrospectiveに調査を行った. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.25.608 |