格子状道路網における右折コストを考慮した最小コスト通行

自動車交通における右折は,交通事故回避や所要時間短縮のため避けたほうがよいとされている.しかし最短経路の途中にある右折を回避すると一般に移動距離は増加する.本研究は右折1 回につき距離に換算した一定のコストを与えて,右折コストと移動距離の和が最小となる経路を通る「最小コスト通行」について論じる.最小コスト通行は,右折1回あたりのコストがゼロのときは最短経路を通る自由通行となり,右折1回あたりのコストが十分に大きな場合は全ての右折を回避する右折禁止通行となる.格子状道路網モデルを使用し,道路網の街区辺に一様に発生する移動を想定して,起終点間のコストが最小となる経路の平均移動コストの近似式を算出す...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 Vol. 67; pp. 22 - 41
Main Author 三浦, 英俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:自動車交通における右折は,交通事故回避や所要時間短縮のため避けたほうがよいとされている.しかし最短経路の途中にある右折を回避すると一般に移動距離は増加する.本研究は右折1 回につき距離に換算した一定のコストを与えて,右折コストと移動距離の和が最小となる経路を通る「最小コスト通行」について論じる.最小コスト通行は,右折1回あたりのコストがゼロのときは最短経路を通る自由通行となり,右折1回あたりのコストが十分に大きな場合は全ての右折を回避する右折禁止通行となる.格子状道路網モデルを使用し,道路網の街区辺に一様に発生する移動を想定して,起終点間のコストが最小となる経路の平均移動コストの近似式を算出する.この近似式を用いた解析の結果,最小コスト通行の移動コストが自由通行や右折禁止通行を下回るのは右折1回のコストが街区1辺から3辺の距離に当たるときであり,最小コスト通行によって最大で街区辺1 辺程度の移動コストを削減できることが明らかとなった.
ISSN:1349-8940
2188-8280
DOI:10.15807/torsj.67.22