顔面非対称症例に対する下顎枝矢状分割術-下顎骨体部切除術併用と両側下顎枝矢状分割術との非対称性の改善の比較

「緒言」 顎偏位を伴う骨格性下顎前突症では, 顔貌の非対称性を改善するために下顎骨をより対称にするような外科的処置が必要とされる. このような症例に対して当大学では, 両側下顎枝矢状分割法(以下両側SSRO)や, 偏位側に下顎枝矢状分割術を, 偏位側の反対側(以下非偏位側)に下顎骨体部切除術を併用した手術法(以下SSRO-BODY)がしばしば用いられてきた. 当教室の久木田ら1)は, 顔面非対称症例に対してSSRO-BODYならびに両側SSROを適応した症例の術前後の顔面写真を用いて正貌軟組織の非対称性の改善度を調べた結果, 術後の対称性は両側SSROよりもSSRO-BODYの方が向上している...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 5; no. 1; pp. 37 - 44
Main Authors 森田, 修一, 八巻, 正樹, 武藤, 祐一, 大橋, 靖, 小林, 正治, 中島, 民雄, 松岸, 潔, 花田, 晃治, 佐藤, 勇資
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 30.04.1995
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.5.37

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Summary:「緒言」 顎偏位を伴う骨格性下顎前突症では, 顔貌の非対称性を改善するために下顎骨をより対称にするような外科的処置が必要とされる. このような症例に対して当大学では, 両側下顎枝矢状分割法(以下両側SSRO)や, 偏位側に下顎枝矢状分割術を, 偏位側の反対側(以下非偏位側)に下顎骨体部切除術を併用した手術法(以下SSRO-BODY)がしばしば用いられてきた. 当教室の久木田ら1)は, 顔面非対称症例に対してSSRO-BODYならびに両側SSROを適応した症例の術前後の顔面写真を用いて正貌軟組織の非対称性の改善度を調べた結果, 術後の対称性は両側SSROよりもSSRO-BODYの方が向上していることを報告した. 一方, 顔面非対称症例の術前後における骨格性の変化を評価するためには, 正面セファログラムを用いる必要があるが, 撮影時期が異なる正面セファログラムでは, 頭部を固定するイヤーロッドを中心に頭部が上下方向に回転するため, 正面セファログラムのトレースを重ね合わせ, その変化の様相を評価することは困難であった2). そこで本研究では, 正面セファログラムから硬組織ならびに軟組織の輪郭を抽出し, 術前後における顔の厚さの変化や頭部の回転によって生じるセファログラムの歪みを補正し, 重ね合わせる方法を考案した. この方法を用いて, 先に久木田らが報告した顔面非対称症例を対象とし, 術前後における正面セファログラムを用いて中顔面から下顔面の輪郭を形成する硬組織と軟組織の形態変化を比較し, SSRO-BODYならびに両側SSROにより顔面骨格形態の非対称性がどのように改善されているかについて検討した.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.5.37