心臓手術における術後感染への予防的抗生剤Cefazolin の適正使用についての検討 心臓手術の危険因子との関連を通じて

緒言 外科手術における抗生剤予防投与の必要性1)や術後感染に対する術前からの予防的抗生剤投与の有効性が報告され2), 現在ほとんどの手術において術前からの抗生剤投与が行われている. 心臓血管外科手術は無菌手術と考えられていることから, 術後感染予防抗生剤としては表皮常在細菌または環境細菌を対象として選択され, ペニシリン系抗生剤や第一世代のセフェム系抗生剤が使用されている. 虚血性心疾患において, 冠動脈の中枢側に存在する狭窄ないし閉塞部より末梢側に上行大動脈からのバイパスを作成し, 冠血行の改善を目的とする冠動脈バイパス手術は感染症に罹患しやすい手術症例であり, その中で多い感染症の一つとし...

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Published in医療薬学 Vol. 29; no. 3; pp. 330 - 336
Main Authors 町田, 聖治, 増田, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.06.2003
日本医療薬学会
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Summary:緒言 外科手術における抗生剤予防投与の必要性1)や術後感染に対する術前からの予防的抗生剤投与の有効性が報告され2), 現在ほとんどの手術において術前からの抗生剤投与が行われている. 心臓血管外科手術は無菌手術と考えられていることから, 術後感染予防抗生剤としては表皮常在細菌または環境細菌を対象として選択され, ペニシリン系抗生剤や第一世代のセフェム系抗生剤が使用されている. 虚血性心疾患において, 冠動脈の中枢側に存在する狭窄ないし閉塞部より末梢側に上行大動脈からのバイパスを作成し, 冠血行の改善を目的とする冠動脈バイパス手術は感染症に罹患しやすい手術症例であり, その中で多い感染症の一つとして創部感染症があげられる. これは開心術の多くは胸骨正中切開が行われ, 縦隔の血行が小さいことや人工心肺装置を使用することによる体内への病原微生物の進入の確率が増加し, 感染に罹患する原因となっているためである. また, 術後感染の危険因子の検討についての報告もされており3,4), 術後感染症には注意が払われている.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.29.330