経口用抗癌剤エトポシドの体内動態と副作用に及ぼす胃切除の影響
「緒言」抗癌剤は, 消化器毒性や骨髄抑制など重篤な副作用を有するものが多く, 他の医薬品と比べ, より高度な注意や綿密な観察が必要とされている. しかし, 臨床の場で抗癌剤の血中濃度の測定がルーチン業務として行われているのは, メトトレキサートのみである1). 抗癌剤の体内動態に及ぼす相互作用や病態による影響に関する詳細な報告は少ない2). 我々は, 肺癌患者におけるカルボプラチンおよびエトポシドの21日間経口連続投与時における体内動態と薬動力学の検討を行い, エトポシドの血中濃度曲線下面積(AUC)から血液毒性を予測し, より安全な治療に努めてきた3). それらの症例の中で, 胃切除患者にお...
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Published in | 病院薬学 Vol. 25; no. 4; pp. 368 - 375 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医療薬学会
10.08.1999
日本病院薬学会 |
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ISSN | 0389-9098 2185-9477 |
DOI | 10.5649/jjphcs1975.25.368 |
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Summary: | 「緒言」抗癌剤は, 消化器毒性や骨髄抑制など重篤な副作用を有するものが多く, 他の医薬品と比べ, より高度な注意や綿密な観察が必要とされている. しかし, 臨床の場で抗癌剤の血中濃度の測定がルーチン業務として行われているのは, メトトレキサートのみである1). 抗癌剤の体内動態に及ぼす相互作用や病態による影響に関する詳細な報告は少ない2). 我々は, 肺癌患者におけるカルボプラチンおよびエトポシドの21日間経口連続投与時における体内動態と薬動力学の検討を行い, エトポシドの血中濃度曲線下面積(AUC)から血液毒性を予測し, より安全な治療に努めてきた3). それらの症例の中で, 胃切除患者における副作用の発現率は, 胃非切除患者に比べ顕著であったので, 胃切除患者のエトポシドの体内動態と副作用との関連を検討したところ, 副作用発現は最高血中濃度(Cmax)とAUCの上昇に関連するとの興味ある知見が得られたので報告する. 方法 1. 試料と材料 エトポシド(VP-16)は日本化薬株式会社のラステットS(R), カルボプラチン(CBDCA)はブリストルマイヤーズスクイブ株式会社のパラプラチン(R), Extrelut3(R)はメルク社から購入したものをそれぞれ使用した. HPLC用エトポシドと内部標準エチルエトポシドは, 日本化薬株式会社から提供されたものを使用した. その他の試薬は, すべて特級を使用した. |
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ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.25.368 |