当科における小児腎移植後surveillance biopsyの検討

[目的]腎移植後surveillance biopsy(SBs)による早期治療介入の意義や、中長期予後評価における意義は議論の分かれるところである。当科における小児腎移植後SBsの検討を行った。[対象・方法]当科で施行した小児腎移植症例のうち、primary graft nonfunctionの2例と移植後生検未施行の1例を除いた13例に関し、移植後4-6ヶ月、1年、3年、5年、7年、10年のSBsに関する評価を行った。[結果]移植後4-6ヶ月の生検対象は13例でそのうち12例で生検を施行し、治療介入を必要とした拒絶反応は6例に認めた。移植後1年の生検対象は13例でそのうち12例で生検を施行し...

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Published in移植 Vol. 56; no. Supplement; p. s166
Main Authors 高橋, 雄介, 窪田, 理沙, 神農, 陽子, 藤原, 拓造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2021
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Summary:[目的]腎移植後surveillance biopsy(SBs)による早期治療介入の意義や、中長期予後評価における意義は議論の分かれるところである。当科における小児腎移植後SBsの検討を行った。[対象・方法]当科で施行した小児腎移植症例のうち、primary graft nonfunctionの2例と移植後生検未施行の1例を除いた13例に関し、移植後4-6ヶ月、1年、3年、5年、7年、10年のSBsに関する評価を行った。[結果]移植後4-6ヶ月の生検対象は13例でそのうち12例で生検を施行し、治療介入を必要とした拒絶反応は6例に認めた。移植後1年の生検対象は13例でそのうち12例で生検を施行し、治療介入を必要とした拒絶反応は5例に認めた。全例細胞性拒絶反応(borderline change含む)であり、抗体関連拒絶反応は認めなかった。移植後3年以降の生検では治療介入を必要とする拒絶反応は認めず、カルシニューリン毒性に関しても、移植後10年で1例に認めるのみであった。検討症例の中で、経過中BK腎症と診断された症例及び尿路奇形を合併し尿路感染を繰り返した症例に関してはSBsとは別に追加で生検を行い、BK腎症、逆流性腎症の評価を行った。[考察]腎移植後1年までは病理学的な拒絶反応の頻度も多く、治療介入の検討をする上でSBsの意義はあると考える。中長期に関しては病理学的な拒絶反応の頻度はほぼ認めず、また血管毒性などの頻度も低いことより、臨床所見に合わせエピソード生検を行うことで良いように思われる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.56.Supplement_s166