小児手掌多汗症に対する胸腔鏡下交感神経節切除術の満足度

当施設で1994年から2002年の8年間で胸腔鏡下交感神経節切除術を行った小児手掌多汗症患者35症例 (9歳~15歳) に対し, 手紙によるアンケート調査を行い, 回答のあった24例について, 治療成績, 合併症, および満足度について検討した. 手術による出血, 気胸, ホルネル徴候, 感覚障害などの合併症はなかった. 3例は追跡期間中に再発しており, 交感神経幹の焼灼切除が不完全であったことが原因と考えられた. 代償性発汗の出現頻度は91.7%であり, そのうち62.5%が日常生活に支障を感じていた. 術後長期満足度は79.2%であり, 満足度が低下するおもな原因は代償性発汗と再発であった...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 11; no. 4; pp. 460 - 463
Main Authors 小杉, 志都子, 篠崎, 未緒, 豊川, 秀樹, 立川, 俊一, 長沼, 芳和, 大瀬戸, 清茂, 塩谷, 正弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.10.2004
日本ペインクリニック学会
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Summary:当施設で1994年から2002年の8年間で胸腔鏡下交感神経節切除術を行った小児手掌多汗症患者35症例 (9歳~15歳) に対し, 手紙によるアンケート調査を行い, 回答のあった24例について, 治療成績, 合併症, および満足度について検討した. 手術による出血, 気胸, ホルネル徴候, 感覚障害などの合併症はなかった. 3例は追跡期間中に再発しており, 交感神経幹の焼灼切除が不完全であったことが原因と考えられた. 代償性発汗の出現頻度は91.7%であり, そのうち62.5%が日常生活に支障を感じていた. 術後長期満足度は79.2%であり, 満足度が低下するおもな原因は代償性発汗と再発であった. 他人との接触や学習時の不便さは改善する傾向にあった. 手掌多汗症に対する早期手術は, 患児が苦悩感や劣等感を感じることに費やす期間を少なくし社会的発達を向上させる利点がある一方, 代償性発汗や再発はかえって患児の精神的負担となり手術の満足度は低下する. 術前に患児および両親に対する十分な説明, 術後の長期的経過観察および再発防止のための確実な手技の検討が必要であると考える.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc1994.11.460