軟性膀胱鏡による診断と治療

85例の患者に対して160回の軟性膀胱鏡による検査および膀胱内の操作を行った. 疾患の内訳は, 膀胱腫瘍45例, 尿管腫瘍4例, 前立腺癌4例, 血尿7例などである. 尿道狭窄の3例を除き挿入は容易であり, 特に放射線治療後や膀胱頚部の腫瘍などで硬性鏡の挿入不能な3例でも容易に検査が可能であった. 逆行性腎盂造影を7例, 腫瘍の cold cup 生検を14例, 尿管に留置したダブルJ型ステントの抜去を3例で行い, 良好な結果であった. 膀胱腫瘍を発見したのは26例 (30回) あり, このうち20例で硬性鏡の所見と比較したところ, 多発性腫瘍を認めた2例で, 各1個の見落としがあったのみであ...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 11; pp. 1769 - 1773
Main Authors 佐藤, 健, 石川, 悟, 堤, 雅一, 佐々木, 明, 河合, 弘二, 西島, 由貴子, 根本, 良介, 加納, 勝利, 小磯, 謙吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1988
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Summary:85例の患者に対して160回の軟性膀胱鏡による検査および膀胱内の操作を行った. 疾患の内訳は, 膀胱腫瘍45例, 尿管腫瘍4例, 前立腺癌4例, 血尿7例などである. 尿道狭窄の3例を除き挿入は容易であり, 特に放射線治療後や膀胱頚部の腫瘍などで硬性鏡の挿入不能な3例でも容易に検査が可能であった. 逆行性腎盂造影を7例, 腫瘍の cold cup 生検を14例, 尿管に留置したダブルJ型ステントの抜去を3例で行い, 良好な結果であった. 膀胱腫瘍を発見したのは26例 (30回) あり, このうち20例で硬性鏡の所見と比較したところ, 多発性腫瘍を認めた2例で, 各1個の見落としがあったのみであった. また再発した表在性の腫瘍に対してNd: YAGレーザーの治療 (8回) を行い, 良好な結果であった. 苦痛が少ないことなど有利な点が多い軟性膀胱鏡は, 下部尿路の診断治療において, 今後有力な手段になると思われる.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.79.11_1769