Y染色体長腕部分欠損を認めた尿道下裂兼陰茎陰嚢不完全位置異常症の1例

外陰部奇形 (尿道下裂, 陰茎陰嚢不完全位置異常) を有する11歳男子でY染色体の長腕部分欠損が認められたが, 奇形のない父と弟にも同じY染色体の欠失が見られた. このY染色体は長腕の末端2/3が欠失しており, この欠失部分は生殖力には関与していないものと思われる. また本症の奇形は妊娠中の何等かの障害に起因しているものと考える. 奇形に対しては2回に分けて形成手術を行い経過は良い. 本症はY染色体の長腕部分欠失が遺伝することが証明された本邦最初の報告である. Y染色体の異常と身体的, 性的表現型等に関し若干の文献的考察を試みた....

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 74; no. 12; pp. 2154 - 2158
Main Authors 藤田, 幸利, 近藤, 捷嘉, 平野, 学, 亀井, 義広, 大橋, 洋三, 松本, 茂, 寺尾, 尚民, 住吉, 義光, 白石, 行正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1983
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Summary:外陰部奇形 (尿道下裂, 陰茎陰嚢不完全位置異常) を有する11歳男子でY染色体の長腕部分欠損が認められたが, 奇形のない父と弟にも同じY染色体の欠失が見られた. このY染色体は長腕の末端2/3が欠失しており, この欠失部分は生殖力には関与していないものと思われる. また本症の奇形は妊娠中の何等かの障害に起因しているものと考える. 奇形に対しては2回に分けて形成手術を行い経過は良い. 本症はY染色体の長腕部分欠失が遺伝することが証明された本邦最初の報告である. Y染色体の異常と身体的, 性的表現型等に関し若干の文献的考察を試みた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.74.12_2154