腎切石術および経皮的腎尿管砕石術による腎機能障害の比較検討

腎切石群 (44例44腎) および経皮的腎尿管砕石術 (PNL) 群 (44例46腎) の2群につき, 各々の術式が腎機能にどのような影響を与えるかを調べる目的で, 術前後のDIP, 生化学データについて比較検討した. また, 術後尿所見についても比較検討した. DIP所見は, 尿管描出時間, 腎杯数, ネフログラム面積, 手術部腎実質の厚さにつき検討し, 生化学データは, BUN濃度, 血清クレアチニン濃度につき検討した. 尿管描出時間では, 腎切石群において術後延長しており, 術後早期 (2~3週間後) において有意差 (p<0.01) を認めた. ネフログラム面積減少率は, 腎切石...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 12; pp. 2108 - 2113
Main Authors 藤田, 次郎, 多田, 羅潔, 平石, 攻治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1987
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Summary:腎切石群 (44例44腎) および経皮的腎尿管砕石術 (PNL) 群 (44例46腎) の2群につき, 各々の術式が腎機能にどのような影響を与えるかを調べる目的で, 術前後のDIP, 生化学データについて比較検討した. また, 術後尿所見についても比較検討した. DIP所見は, 尿管描出時間, 腎杯数, ネフログラム面積, 手術部腎実質の厚さにつき検討し, 生化学データは, BUN濃度, 血清クレアチニン濃度につき検討した. 尿管描出時間では, 腎切石群において術後延長しており, 術後早期 (2~3週間後) において有意差 (p<0.01) を認めた. ネフログラム面積減少率は, 腎切石群10.6%, PNL群3.5%と腎切石群でより減少の傾向であった. 腎杯数の減少は, 腎切石群66.7%, PNL群9.9%にみられ, 有意 (p<0.01) に腎切石群で減少していた. 術後血清クレアチニン濃度の上昇は, 腎切石群に多く認められかつ長期間に及んでいた. 術後血尿持続期間は, 腎切石群33.3±20.1日 (mean±SD), PNL群26.3±12.5日 (mean±SD), 術後膿尿持続期間は, 腎切石群36.9±20.4日 (mean±SD), PNL群20.9±15.2日 (mean±SD) であり, いずれにおいてもPNL群に短い傾向が認められた. 以上より, 経皮的腎尿管砕石術 (PNL) が腎切石術に較べ術後腎機能障害の程度も軽く, 早期に手術による影響も消失する優れた術式であると思われた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.12_2108