抗 Neuron Specific Enolase (NSE) 抗体による腎癌の免疫組織化学的検討

Neuron Specific Enolase (NSE) は神経細胞, 神経内分泌細胞のマーカーとして用いられるが, 最近正常尿細管細胞また腎癌細胞にも存在することが明らかにされたため, 抗NSE抗体を用いた免疫組織化学的技法により腎癌におけるNSEの発現度を検索し, 腎癌の組織像とNSEの発現の関係について検討した. 全割面標本を作製した23例を対象とした. 23例中17例70%に陽性反応を認め, 腎癌ではかなりの頻度でNSEが出現することが明らかとなった. low grade群 (G1, G2) は15例中9例, high grade 群 (G3, G4) 8例中8例NSEの出現を認めた...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 11; pp. 1818 - 1823
Main Authors 仙賀, 裕, 里見, 佳昭, 福田, 百邦, 絵鳩, 哲哉, 中橋, 満, 穂坂, 正彦, 田中, 祐吉, 三杉, 和章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1988
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Summary:Neuron Specific Enolase (NSE) は神経細胞, 神経内分泌細胞のマーカーとして用いられるが, 最近正常尿細管細胞また腎癌細胞にも存在することが明らかにされたため, 抗NSE抗体を用いた免疫組織化学的技法により腎癌におけるNSEの発現度を検索し, 腎癌の組織像とNSEの発現の関係について検討した. 全割面標本を作製した23例を対象とした. 23例中17例70%に陽性反応を認め, 腎癌ではかなりの頻度でNSEが出現することが明らかとなった. low grade群 (G1, G2) は15例中9例, high grade 群 (G3, G4) 8例中8例NSEの出現を認めた. high grade 群はNSEの発現度が高いため, 解糖系の代謝が亢進しているとも考えられた. NSEの発現と予後との関連については, low grade 群で陰性例は陽性例にくらべ若干良好であった. high grade 群では全例陽性のため判断はできなかった. 抗NSE抗体を用いた免疫組織化学的検索により, 腎癌の組織像と臨床経過の関係の一端が明らかにできるものと考えられた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.79.11_1818