アミノ配糖体系抗生剤Sisomicinの点滴静注による呼吸器感染症に対する臨床的検討

アミノ配糖体系抗生剤は緑膿菌他グラム陰性菌, ブドウ球菌他グラム陽性球菌に対して優れた抗菌力を示し, 各種の感染症治療に対する有用性は高く評価されてきた。しかして本剤の使用法は筋注法だけが許されているのではあるが, 血液疾患や悪性腫瘍等の重症な基礎疾患のある感染症患者の治療時や, 疼痛その他の理由で筋注が至難と考えられる場合には点滴静注法が使用されているのが実態で, 欧米ではすでに本剤の静脈内注射はより普遍的である12~15)。 Sisomicin (SISO) はM. J. WEINSTEINらが発見したMicromonospora inyoensisから産生されるFig. 1の構造式を持つ...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 38; no. 6; pp. 1533 - 1551
Main Authors 山本, 朝子, 長濱, 文雄, 磯部, 宏, 高木, 浩, 中野, 郁夫, 下村, 寿太郎, 木村, 清延, 菊地, 弘毅, 与沢, 宏一, 佐々木, 信博, 伊東, 廉, 黒田, 練介, 大橋, 亮二, 大島, 信一, 安田, 悳也, 飛沢, 志朗, 桑島, 核, 田村, 隆志, 小六, 哲司, 若松, 時夫, 後町, 洋一, 平賀, 洋明, 大崎, 能伸, 佐々木, 雄一, 大崎, 饒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 1985
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Summary:アミノ配糖体系抗生剤は緑膿菌他グラム陰性菌, ブドウ球菌他グラム陽性球菌に対して優れた抗菌力を示し, 各種の感染症治療に対する有用性は高く評価されてきた。しかして本剤の使用法は筋注法だけが許されているのではあるが, 血液疾患や悪性腫瘍等の重症な基礎疾患のある感染症患者の治療時や, 疼痛その他の理由で筋注が至難と考えられる場合には点滴静注法が使用されているのが実態で, 欧米ではすでに本剤の静脈内注射はより普遍的である12~15)。 Sisomicin (SISO) はM. J. WEINSTEINらが発見したMicromonospora inyoensisから産生されるFig. 1の構造式を持つたアミノ配糖体系抗生剤1, 2) で, Gentamicin (GM) 同様, グラム陰性菌から陽性菌まで幅広い抗菌スペクトラムを持ち3), 従来のアミノ配糖体系抗生剤に比べて, より短時間で殺菌的に作用し4), 特にin vivoで優れた抗菌力を示し3, 5), その聴器並びに腎毒性についてはGMとほぼ同等もしくはやや弱いと評価されている6, 7)。本剤のヒトへの筋注時の血中濃度は注射後30~60分でピークに達し, 以後速やかに低下し, 6~8時間後にはほとんど血中から消失する。排泄は腎排泄型であつて投与後6~8時間までに投与量の60%以上が排泄される8~10)。 又, 健康成人を対象とし, 30~120分間をかけての本剤点滴静注時の血中濃度及び尿中排泄を, 同量筋注時と比較検討した成績では, 点滴静注時の血中濃度ピーク値は点滴時間に依存し, そのパターン及び薬動力学の主な係数には大差はないと報告されている11)。 今回, 我々は昭和58年5月~昭和59年2月の間に, 呼吸器感染症患者を対象に道内12施設協同で本剤の点滴静注法による臨床的有効性, 安全性及び有用性, 更にはその経時的血中濃度推移について検討したのでここに報告し大方の御批判を仰ぎたい。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.38.1533