滑車神経麻痺と動眼神経麻痺にHorner症候群を合併した海綿静脈洞部の硬膜動静脈廔の1例

73歳女性.広義原発開放隅角緑内障の経過観察中に左眼の見えにくさと複視を訴えて受診した.滑車神経麻痺で初発し,その後,動眼神経麻痺,Horner症候群を発症した.1%アプラクロニジン点眼試験では,点眼前は明所では左眼の瞳孔径が大きく,暗所では右眼の瞳孔径が大きかった.点眼後は,明所で左眼が右眼に比べて著明に散瞳していた.瞼裂高は,点眼後に左眼が3 mm拡大し,動眼神経麻痺にHorner症候群を合併していると診断した.その後,外転神経麻痺も合併したため,海綿静脈洞部の硬膜動静脈瘻に対し,経静脈的塞栓術を施行した. 複合神経麻痺では,眼球運動障害に加えて,瞳孔所見にも注意する必要がある....

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Published inNeuro-Ophthalmology Japan Vol. 34; no. 2; pp. 172 - 176
Main Authors 宇田川, さち子, 大久保, 真司, 田辺, 美乃梨, 杉山, 和久, 東出, 朋巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 2017
The Japanese Neuro-Ophthalmology Society
Subjects
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.34.172

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Summary:73歳女性.広義原発開放隅角緑内障の経過観察中に左眼の見えにくさと複視を訴えて受診した.滑車神経麻痺で初発し,その後,動眼神経麻痺,Horner症候群を発症した.1%アプラクロニジン点眼試験では,点眼前は明所では左眼の瞳孔径が大きく,暗所では右眼の瞳孔径が大きかった.点眼後は,明所で左眼が右眼に比べて著明に散瞳していた.瞼裂高は,点眼後に左眼が3 mm拡大し,動眼神経麻痺にHorner症候群を合併していると診断した.その後,外転神経麻痺も合併したため,海綿静脈洞部の硬膜動静脈瘻に対し,経静脈的塞栓術を施行した. 複合神経麻痺では,眼球運動障害に加えて,瞳孔所見にも注意する必要がある.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.34.172