減衰振動磁場下における磁気ナノ粒子分散液の直線二色性変化に及ぼす粘性率の影響
磁場中で磁気ナノ粒子(magnetic nanoparticle, MNP)分散液に誘起される直線二色性は,MNPの回転運動を反映する.本研究では,これを利用した局所粘性率測定法の開発を目指し,粘性率がMNP分散液の直線二色性の時間変化に及ぼす影響を調査し,粘性率測定に有用なパラメータを見いだした.減衰振動磁場内に設置したMNP分散液に直線偏光を照射し透過光の偏光角変化を測定した.減衰振動磁場の印加に伴い偏光角は大きく変化し,磁場の2倍の周波数で振動した.この偏光角の振幅と位相の粘性率の増加に伴う変化に注目した.磁場の振幅が低い場合(<0.1 T),偏光角変化の振幅とその極大値の間に比例関係が...
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Published in | 分析化学 Vol. 69; no. 12; pp. 679 - 684 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
05.12.2020
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Summary: | 磁場中で磁気ナノ粒子(magnetic nanoparticle, MNP)分散液に誘起される直線二色性は,MNPの回転運動を反映する.本研究では,これを利用した局所粘性率測定法の開発を目指し,粘性率がMNP分散液の直線二色性の時間変化に及ぼす影響を調査し,粘性率測定に有用なパラメータを見いだした.減衰振動磁場内に設置したMNP分散液に直線偏光を照射し透過光の偏光角変化を測定した.減衰振動磁場の印加に伴い偏光角は大きく変化し,磁場の2倍の周波数で振動した.この偏光角の振幅と位相の粘性率の増加に伴う変化に注目した.磁場の振幅が低い場合(<0.1 T),偏光角変化の振幅とその極大値の間に比例関係が観測された.その比例係数は粘性率に依存したが,MNP濃度には依存しなかった.例えば,細胞内のようなMNP濃度を正確に見積もるのが困難な試料を測定する場合,この比例係数は粘性率を見積もるパラメータとして有用である.偏光角変化の位相は粘性率とともに増加したが,MNP濃度には依存しなかった.また,位相は磁場の振幅により変化した.一定振幅の交流磁場とロックインアンプを用いて位相を測定することで,高感度かつ高精度な粘性率測定が期待できる. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.69.679 |