新生児にPhenobarbitalを静注および直腸投与した際の血中薬物動態
「はじめに」 新生児小児における薬物代謝吸収分布蛋白結合排泄に関しては, 成人と大きく異なっていることはよく知られている. すなわち血清蛋白結合率の低いこと, 分布容積は大きく, 半減期は長い, 代謝率あるいはクリアランスが小さいことなどである1). そのため成人における概念をそのままあてはめることが難しく, しかも新生児や小児における薬物代謝の個体差, 個々の反応速度差も大きいと考えられる2). Phenobarbital(BP)は脳の基礎代謝率の低下, 脳障害部位の血流の改善, 脳浮腫の予防ないし減少, 有害なフリーラジカルの除去という脳の保護作用がある3). そこで新生児痙れんに対しての...
Saved in:
Published in | 病院薬学 Vol. 19; no. 1; pp. 53 - 57 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本医療薬学会
1993
日本病院薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0389-9098 2185-9477 |
DOI | 10.5649/jjphcs1975.19.53 |
Cover
Summary: | 「はじめに」 新生児小児における薬物代謝吸収分布蛋白結合排泄に関しては, 成人と大きく異なっていることはよく知られている. すなわち血清蛋白結合率の低いこと, 分布容積は大きく, 半減期は長い, 代謝率あるいはクリアランスが小さいことなどである1). そのため成人における概念をそのままあてはめることが難しく, しかも新生児や小児における薬物代謝の個体差, 個々の反応速度差も大きいと考えられる2). Phenobarbital(BP)は脳の基礎代謝率の低下, 脳障害部位の血流の改善, 脳浮腫の予防ないし減少, 有害なフリーラジカルの除去という脳の保護作用がある3). そこで新生児痙れんに対しての薬物療法において, PBが第一選択薬として使用され, その投与法は速効性が期待される静脈内投与が推奨されている. しかし, 現在PBの静注剤の製造は中止されており, これにかわる製剤として筋注剤, 内服剤, 坐剤があるが, 筋注剤は小児, 特に新生児においては筋硬直の問題があり, 内服剤は速効性に問題があるとされる. |
---|---|
ISSN: | 0389-9098 2185-9477 |
DOI: | 10.5649/jjphcs1975.19.53 |