当院における貯血式自己血採血クリニカルパスの導入とその有用性

自己血輸血が同種血輸血による合併症の多くを回避することは論を待たない. 待機的手術の場合には, 輸血による合併症を最小限にする手段として貯血式自己血輸血の実施を考慮すべきである. しかし, 貯血式自己血の採血, 貯血行程は複雑であるため, 知識と技術の必要性に加え, 人手と時間がかかるなど, 業務が煩わしく敬遠されやすいという欠点がある1). この問題を克服する手段として, 自己血採血, 貯血法をクリニカルパスにすることが有効であると考え, 厚生省の「自己血輸血:採血および保管管理マニュアル」2)に示された手順を基本的な方法として, 「自己血採血パス」を作成した. 今回, 我々は, 自己血輸血...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 409 - 417
Main Authors 進士, 都, 森田, 弘之, 松田, 眞佐男, 津下, 圭太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 31.08.2005
日本輸血学会
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Summary:自己血輸血が同種血輸血による合併症の多くを回避することは論を待たない. 待機的手術の場合には, 輸血による合併症を最小限にする手段として貯血式自己血輸血の実施を考慮すべきである. しかし, 貯血式自己血の採血, 貯血行程は複雑であるため, 知識と技術の必要性に加え, 人手と時間がかかるなど, 業務が煩わしく敬遠されやすいという欠点がある1). この問題を克服する手段として, 自己血採血, 貯血法をクリニカルパスにすることが有効であると考え, 厚生省の「自己血輸血:採血および保管管理マニュアル」2)に示された手順を基本的な方法として, 「自己血採血パス」を作成した. 今回, 我々は, 自己血輸血の推進を目的として, 「自己血採血パス」を紹介すると共に, その内容と活用方法, 及びパス導入後の効果について報告する. 病院の概要 当院は許可病床数683床, 外来患者数1,700人/日, 手術件数7,500件/年, 赤血球製剤使用数7,500単位/年, 凍結血漿使用数4,500単位/年の救命救急センターに指定された急性期型病院である.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.51.409