外来患者を対象とした食後服用遵守状況の調査とそのノンコンプライアンスに関する要因解析

「緒言」医薬品の適正使用には, 医師による的確な診断と処方の作成, 薬剤師による正確な調剤, 医師および薬剤師による服薬指導に加え, 患者自身が薬物療法を理解するとともに, 服薬遵守が必須の要件となる. さらに, 近年開発され臨床に供された医薬品の中には, その有効性と安全性を確保するために, 厳密に用法用量を患者に遵守させることが必要なものが数多く見られている1). 平成9年4月に実施された薬剤師法第25条の2によって調剤薬の交付にあたっては, 患者等への適正使用に必要な情報の提供が義務づけられ, これを受けて多くの医療機関では, 情報提供のための説明書の作成や能動的服薬指導が行われるように...

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Published in病院薬学 Vol. 26; no. 1; pp. 79 - 86
Main Authors 山村, 喜一, 青山, 隆夫, 清野, 敏一, 佐藤, 均, 伊賀, 立二, 中村, 均, 山岡, 愛美, 梅本, 紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 2000
日本病院薬学会
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ISSN0389-9098
2185-9477
DOI10.5649/jjphcs1975.26.79

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Summary:「緒言」医薬品の適正使用には, 医師による的確な診断と処方の作成, 薬剤師による正確な調剤, 医師および薬剤師による服薬指導に加え, 患者自身が薬物療法を理解するとともに, 服薬遵守が必須の要件となる. さらに, 近年開発され臨床に供された医薬品の中には, その有効性と安全性を確保するために, 厳密に用法用量を患者に遵守させることが必要なものが数多く見られている1). 平成9年4月に実施された薬剤師法第25条の2によって調剤薬の交付にあたっては, 患者等への適正使用に必要な情報の提供が義務づけられ, これを受けて多くの医療機関では, 情報提供のための説明書の作成や能動的服薬指導が行われるようになった2-5). しかしながら, 医薬品の最終使用者である患者自身がそれらの情報や服薬指導の内容を正しく理解し, さらに実行することがないかぎり適正使用は達成されない6-8). しかし, 処方せん中で食後服用が多く処方されているにもかかわらず, 薬剤師法第25条の2が施行された以後に, 食後服用に関する理解, コンプライアンスおよび服薬指導の有無からノンコンプライアンスの要因を解析した報告は, 文献上見られない. 本研究では, 東京大学医学部附属病院(以下当院)薬剤部外来処方せん受付カウンタで, 能動的服薬指導対象薬剤9)の中から, 特に食後服用の遵守が必要な薬剤(表1)が処方された患者を対象として, 食後服用薬に対する患者の理解度と, 実際の服用時期の遵守についての実態調査を行い, ノンコンプライアンスに関する要因解析を行った.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.26.79