顎下型ラヌーラの3症例 治療法の検討

3例の顎下型ラヌーラを報告し, 文献的考察を行つた. その主な成因は, 舌下腺あるいは導管の外傷や閉塞により溢出した唾液が顎舌骨筋の間隙を通つて顎下部, 頸部, 咽頭周囲へ拡散停滞して嚢胞状になつたものと考える. 1978年以来, 本邦の口腔外科および耳鼻咽喉科領域で報告された顎下型ラヌーラ57例の治療法は開窓法, 嚢胞摘出, 舌下腺摘出, 顎下腺摘出あるいはこれらの併用などで, 再発率は, 嚢胞と顎下腺摘出後20%, 開窓法後15%, 舌下腺摘出後0%であつた. われわれは, 顎下型ラヌーラは, 上皮被覆をみる真の嚢胞ではないとの見解のものに, 自験例3例に対して口内法による舌下腺摘出と嚢胞...

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Published in医療 Vol. 44; no. 3; pp. 285 - 288
Main Authors 割田, 雄司, 岡本, 昌也, 吉田, 康洋, 曽田, 忠雄, 池尻, 公二, 三好, 真知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1990
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.44.285

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Summary:3例の顎下型ラヌーラを報告し, 文献的考察を行つた. その主な成因は, 舌下腺あるいは導管の外傷や閉塞により溢出した唾液が顎舌骨筋の間隙を通つて顎下部, 頸部, 咽頭周囲へ拡散停滞して嚢胞状になつたものと考える. 1978年以来, 本邦の口腔外科および耳鼻咽喉科領域で報告された顎下型ラヌーラ57例の治療法は開窓法, 嚢胞摘出, 舌下腺摘出, 顎下腺摘出あるいはこれらの併用などで, 再発率は, 嚢胞と顎下腺摘出後20%, 開窓法後15%, 舌下腺摘出後0%であつた. われわれは, 顎下型ラヌーラは, 上皮被覆をみる真の嚢胞ではないとの見解のものに, 自験例3例に対して口内法による舌下腺摘出と嚢胞内溶液の排液を行つた. 術後4~7年間再発のないことから, 顎下型ラヌーラの治療は口腔内からの舌下腺の摘出と排液が適切な治療法であり, 口外法による嚢胞の摘出の必要はないと考える
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.44.285