無症候性脳梗塞における聴性中間反応(MLRs)と神経心理機能との相関性

聴性中間反応(MLRs)は中潜時にて出現する聴覚性誘発電位である。その後期成分Pbは上行性網様体賦活系(ARAS)からのコリン作動性ニューロンが視床髄板内核へ入力し発生するものと考えられている。著者らは脳血管性痴呆(VD)やアルツハイマー病(AD)などではMLRsのPb成分が低振幅となり痴呆疾患の診断に有用であることを報告してきた。一方, MR像の導入により, 無症候性脳梗塞(SBI)の検出率が上昇するとともに潜在性知的機能障害の有無が注目されている。今回, MMSE, HDS-R, ハチンスキー虚血スコアからVDを否定されたSBI者を対象にMLRsを記録し, VD群とともに対照(hospit...

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Published in東京保健科学学会誌 Vol. 1; no. 2; pp. 188 - 193
Main Authors 栃木, 捷一郎, 杉本, 正子, 武, 未希子, 立山, 萬里, 川上, 正人, 須田, 治彦, 渡辺, 尚彦, 水戸, 優子, 城生, 弘美, 佐藤, 豊明, 金, 寿子, 河野, 光伸, 志自岐, 康子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本保健科学学会 1999
Japan Academy of Health Sciences
Subjects
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ISSN1344-3844
2433-149X
DOI10.24531/jjhs.1.2_188

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Summary:聴性中間反応(MLRs)は中潜時にて出現する聴覚性誘発電位である。その後期成分Pbは上行性網様体賦活系(ARAS)からのコリン作動性ニューロンが視床髄板内核へ入力し発生するものと考えられている。著者らは脳血管性痴呆(VD)やアルツハイマー病(AD)などではMLRsのPb成分が低振幅となり痴呆疾患の診断に有用であることを報告してきた。一方, MR像の導入により, 無症候性脳梗塞(SBI)の検出率が上昇するとともに潜在性知的機能障害の有無が注目されている。今回, MMSE, HDS-R, ハチンスキー虚血スコアからVDを否定されたSBI者を対象にMLRsを記録し, VD群とともに対照(hospital control)群のそれと比較した。その結果, VD群では対照に比べPb成分の有意な低振幅が認められたが, 上記スケール等により厳選されたSBI群と対照群の間では有意差が観察されなかった。しかし, Pb成分の経時的観察はSBIからVDへの進展を診断する上で有用であると推定された。
ISSN:1344-3844
2433-149X
DOI:10.24531/jjhs.1.2_188