GC/MS全自動同定・定量データベースシステムにおける測定値の再現性の検証

標準品の測定や検量線の作成をすることなく,化学物質を同定・定量するGC/MS向けの全自動同定・定量データベースシステムの室内併行,室内および室間再現性を検討し,測定値のばらつきを把握するとともに,ばらつきの原因を明らかにした.検討は,GCで測定しにくい物質を含む広範囲の物理化学的性質から構成される114物質を用い,4機関4台のGC/MSで行った.その結果,(A)装置性能を維持すれば47物質(41%)が試料測定時に検量線を作成する従来の手法と同等の再現性で測定でき,(B)42物質(37%)の再現性は従来法から若干劣るものの目的によっては定量可能であった.しかし,(C)25物質(22%)は,採用G...

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Published in分析化学 Vol. 60; no. 7; pp. 543 - 556
Main Authors 宮崎, 照美, 門上, 希和夫, 園田, 裕一, 陣矢, 大助, 山上, 仰, 東房, 健一, 尾川, 博昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2011
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Summary:標準品の測定や検量線の作成をすることなく,化学物質を同定・定量するGC/MS向けの全自動同定・定量データベースシステムの室内併行,室内および室間再現性を検討し,測定値のばらつきを把握するとともに,ばらつきの原因を明らかにした.検討は,GCで測定しにくい物質を含む広範囲の物理化学的性質から構成される114物質を用い,4機関4台のGC/MSで行った.その結果,(A)装置性能を維持すれば47物質(41%)が試料測定時に検量線を作成する従来の手法と同等の再現性で測定でき,(B)42物質(37%)の再現性は従来法から若干劣るものの目的によっては定量可能であった.しかし,(C)25物質(22%)は,採用GC条件では,再現性が悪くスクリーニングとしての使用しかできないことが分かった.また,ばらつきに影響を与える主な要因は,物質の持つ官能基や骨格であり,その度合は,(1) 官能基の種類では,水酸基≧アミノ基>ニトロ基,(2) 官能基の数では,複数>単数,(3) 官能基が複数ある場合の官能基の位置では,各官能基が離れている>各官能基が隣接している,(4) 物質の骨格については,枝別れ炭化水素>直鎖炭化水素>単数のベンゼン環>複数のベンゼン環,であることが確認できた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.60.543