神経ペプチドとその臨床応用 ことにTRHの運動失調に対する効果

1970年以来多数の神経ペプチドが報告, 記載されてきた. そのうち, 若干のものについては化学構造が決定された. これらの神経ペプチドの機能についての研究が進んでいる. これらの神経ペプチドのうち, brain-gut peptidesといわれるものは, 脳と消化管両方に含まれている. 本稿では, これら神経ペプチドの分類, 種類, 中枢作用, 臨床応用などについて概観した. 中枢作用については, 内分泌作用, 行動に対する作用, 記憶, 学習に対する影響, 精神障害に対する作用, 体温, 血圧, 睡眠, 食欲などについての調節的作用, 免疫機能などに言及した. これらの中枢作用にもとづき,...

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Published in医療 Vol. 41; no. 5; pp. 400 - 407
Main Author 祖父江, 逸郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1987
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.41.400

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Summary:1970年以来多数の神経ペプチドが報告, 記載されてきた. そのうち, 若干のものについては化学構造が決定された. これらの神経ペプチドの機能についての研究が進んでいる. これらの神経ペプチドのうち, brain-gut peptidesといわれるものは, 脳と消化管両方に含まれている. 本稿では, これら神経ペプチドの分類, 種類, 中枢作用, 臨床応用などについて概観した. 中枢作用については, 内分泌作用, 行動に対する作用, 記憶, 学習に対する影響, 精神障害に対する作用, 体温, 血圧, 睡眠, 食欲などについての調節的作用, 免疫機能などに言及した. これらの中枢作用にもとづき, 実際のいくつかの臨床応用について述べたが, そのうち, TRHの脊髄小脳変性症の運動失調に対する効果について, 基礎的, 臨床的な成果を総括的に述べた. 脊髄小脳変性症のTRH療法は筆者により初めて報告されたものである.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.41.400