慢性関節リウマチの膝ステロイド注入においてヒアルロン酸ナトリウム添加による関節液性状への影響
ヒアルロン酸ナトリウム製剤(アルツ)は, 変形性膝関節症, 肩関節周囲炎に対して適応を持っている. 作用機序としては, 潤滑機能の改善や関節軟骨の被覆, 保護作用1), 疼痛抑制作用2), 病的関節液の性状改善作用3)などが報告されている. さらに, ヒアルロン酸は, 近年, 滑膜細胞の増殖抑制4), 血管内皮細胞の増殖抑制5)にも関与していることが認められている. つまり, 慢性関節リウマチ(RA)では, 関節液中のヒアルロン酸は低分子化するが, 低分子ヒアルロン酸は血管新生, 滑膜細胞増殖を促進し, 高分子ヒアルロン酸は血管新生, 滑膜増殖を抑制するとされる. そこで, これまでステロイド...
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Published in | 炎症 Vol. 11; no. 2; pp. 169 - 173 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本炎症・再生医学会
1991
日本炎症学会 |
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ISSN | 0389-4290 1884-4006 |
DOI | 10.2492/jsir1981.11.169 |
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Summary: | ヒアルロン酸ナトリウム製剤(アルツ)は, 変形性膝関節症, 肩関節周囲炎に対して適応を持っている. 作用機序としては, 潤滑機能の改善や関節軟骨の被覆, 保護作用1), 疼痛抑制作用2), 病的関節液の性状改善作用3)などが報告されている. さらに, ヒアルロン酸は, 近年, 滑膜細胞の増殖抑制4), 血管内皮細胞の増殖抑制5)にも関与していることが認められている. つまり, 慢性関節リウマチ(RA)では, 関節液中のヒアルロン酸は低分子化するが, 低分子ヒアルロン酸は血管新生, 滑膜細胞増殖を促進し, 高分子ヒアルロン酸は血管新生, 滑膜増殖を抑制するとされる. そこで, これまでステロイドの関節注入療法を実施している症例に対して, ヒアルロン酸の添加を行った場合に, 関節液の性状に生じる変化について検討した. 方法 京大整形外科リウマチ外来に1988年9月より89年4月の時点で通院中のリウマチ患者を対象とした. 対象症例のリウマチ進行度のstage分類および疾患活動性のclass分類は, 表1に示すごとくである. 経常的に膝関節水腫がありステロイド(リンデロン懸濁注またはデポメドロール)注入を行ったが, 効果のみられなかったRA患者10例11膝に対してヒアルロン酸の併用療法を行った. |
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ISSN: | 0389-4290 1884-4006 |
DOI: | 10.2492/jsir1981.11.169 |