経口糖尿病薬の服薬状況とその改善への試み

「緒言」近年, 経口糖尿病薬を必要とする患者は平成9年11月に実施された糖尿病実態調査結果1)にも示されるように増えつつあり, 特に60代, 70代に多く認められている. この年代は糖尿病以外の基礎疾患も抱え, それに伴う服用薬剤数も他の年代に比べ多くなっている. 一方, 経口糖尿病薬は従来のスルホニル尿素薬(以下, SU薬と略す)に加えα-グルコシダーゼ阻害薬(以下, α-GI薬と略す), インスリン抵抗性改善薬, 速効型食後血糖降下薬が製品化され, 糖尿病治療に対し多角的アプローチが可能になった. しかしながら, それぞれ独特の作用機序をもつことから服用時期に指定がある. このことは経口糖...

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Published in病院薬学 Vol. 26; no. 6; pp. 674 - 678
Main Author 石田, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療薬学会 10.12.2000
日本病院薬学会
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Summary:「緒言」近年, 経口糖尿病薬を必要とする患者は平成9年11月に実施された糖尿病実態調査結果1)にも示されるように増えつつあり, 特に60代, 70代に多く認められている. この年代は糖尿病以外の基礎疾患も抱え, それに伴う服用薬剤数も他の年代に比べ多くなっている. 一方, 経口糖尿病薬は従来のスルホニル尿素薬(以下, SU薬と略す)に加えα-グルコシダーゼ阻害薬(以下, α-GI薬と略す), インスリン抵抗性改善薬, 速効型食後血糖降下薬が製品化され, 糖尿病治療に対し多角的アプローチが可能になった. しかしながら, それぞれ独特の作用機序をもつことから服用時期に指定がある. このことは経口糖尿病薬を処方された患者にとって単に薬剤の追加による負担の増加のみならず服薬状況に影響し, 医師の処方設計が生かされないことが予想される. そこで, 服用時期の異なる複数の経口糖尿病薬を処方された患者の服薬状況を調査し, 服薬状況を改善するための工夫を行ったので報告する. 方法 検討1 当院の平成11年4月1日-平成12年3月31日の1年間において, 60歳以上の経口糖尿病薬を服用する外来入院の2型糖尿病患者(NIDDM)108人を対象に経口糖尿病薬の処方内容を調査した. なお, 60歳以上を対象にしたのは前記の糖尿病実態調査結果を参考にしたことによる. さらに経口糖尿病薬を自己管理にて服用し, SU薬単独処方以外の患者で経口糖尿病薬を自己管理している患者に対し, 服薬状況をTable1の聞き取り調査項目《1包化前》に従い調査した.
ISSN:0389-9098
2185-9477
DOI:10.5649/jjphcs1975.26.674