関節円板前方転位が下顎運動に及ぼす影響 側方滑走運動時の解析

「I. 緒言」顎機能異常者に対する診査項目として, 問診, 視診, 触診, X線写真, およびMR画像を用いた画像診査1~8), 下顎運動測定9~14)などがあげられる. なかでも患者の主症状にクリックや運動障害を認めた場合, 顆頭と関節円板の動態を把握する目的で, 画像診断と下顎運動測定を併用すること15, 16)は, 診査, 診断のうえで有益な情報を提供するものと思われる. これまでに, 関節円板前方転位が顆頭運動に及ぼす影響を解明するためにいくつかの研究が行われてきたが, そのほとんどは開閉口運動を対象としたものである17~21), 下顎運動時には左右の顎関節が連動した動きを営むため,...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 1007 - 1012
Main Authors 金村, 清孝, 藤澤, 政紀, 石橋, 寛二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.12.1998
日本補綴歯科学会
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Summary:「I. 緒言」顎機能異常者に対する診査項目として, 問診, 視診, 触診, X線写真, およびMR画像を用いた画像診査1~8), 下顎運動測定9~14)などがあげられる. なかでも患者の主症状にクリックや運動障害を認めた場合, 顆頭と関節円板の動態を把握する目的で, 画像診断と下顎運動測定を併用すること15, 16)は, 診査, 診断のうえで有益な情報を提供するものと思われる. これまでに, 関節円板前方転位が顆頭運動に及ぼす影響を解明するためにいくつかの研究が行われてきたが, そのほとんどは開閉口運動を対象としたものである17~21), 下顎運動時には左右の顎関節が連動した動きを営むため, 車頭運動分析. 時には反対側の影響を考慮する必要があるものと思われる. 実際, 開口時に切歯点は必ずしも関節円板転位側に偏位するとは限らず, 左右顎関節が下顎運動に複雑に関与していることが知られている16). そこで本研究では顆頭運動を関節ごとに評価するため, 側方滑走運動時の非作業側顆頭, および切歯点を対象に下顎運動解析を行い, 関節円板前方転位の程度, 転位した関節円板の復位の有無が, 下顎運動に及ぼす影響について検討した.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.42.1007