水環境調査への生物応答試験の活用に向けた比較検討
河川等の公共用水中には,生物に有害性を有する様々な未規制物質が存在すると考えられるが,それら全てを把握するのは困難が伴う。水中に存在する様々な物質を対象にした生物影響を総合的に評価する手法として生物応答試験(バイオアッセイ)がある。平時のみならず,化学物質の流出事故等の緊急時に活用するなど,公共用水管理に有用と考えられる。自治体の環境行政を科学的見地から支援する役割を担っている地方環境研究所(地環研)におけるバイオアッセイの取組を振り返ると,生物への影響が懸念された内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)問題の2000 年頃に続き,生物応答試験を用いた排水の評価手法(いわゆる日本版WET)と...
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Published in | Chikyu Kankyo Vol. 27; no. 3; pp. 191 - 198 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国際環境研究協会
15.03.2023
ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RESEARCH INITIATIVES FOR ENVIRONMENTAL STUDIES |
Subjects | |
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ISSN | 1342-226X 2758-3783 |
DOI | 10.57466/chikyukankyo.27.3_191 |
Cover
Summary: | 河川等の公共用水中には,生物に有害性を有する様々な未規制物質が存在すると考えられるが,それら全てを把握するのは困難が伴う。水中に存在する様々な物質を対象にした生物影響を総合的に評価する手法として生物応答試験(バイオアッセイ)がある。平時のみならず,化学物質の流出事故等の緊急時に活用するなど,公共用水管理に有用と考えられる。自治体の環境行政を科学的見地から支援する役割を担っている地方環境研究所(地環研)におけるバイオアッセイの取組を振り返ると,生物への影響が懸念された内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)問題の2000 年頃に続き,生物応答試験を用いた排水の評価手法(いわゆる日本版WET)とその活用の手引きを国が取りまとめた2019 年頃が,取組気運の高まりを迎えた時期に当たるといえる。本稿では,これまでの地環研が取り組んだバイオアッセイの結果を整理すると共に,現在,国立環境研究所第Ⅱ型共同研究の制度を活用し,公共用水の影響評価や管理へのバイオアッセイの導入に向けた全国の地環研による共同研究とそこから見えてきた導入への課題について報告する。 |
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ISSN: | 1342-226X 2758-3783 |
DOI: | 10.57466/chikyukankyo.27.3_191 |