Apert症候群に対する骨延長術後における延長方向および延長量の検討
「緒言」Apert症候群は, 1906年フランスのApertによって初めて報告された常染色体優性遺伝性疾患である1). 出生頻度は約1/65,000人とまれで, 症状としては頭蓋縫合早期癒合により頭蓋の変形が生じ, 鼻根部の陥没, 両眼隔離, 上顎低形成, 眼球突出, 眼裂斜下などの中顔面の低形成, 重度の骨性皮膚性合指趾症等を伴う2). またApert症候群では, 頭蓋内圧亢進による二次的な脳や神経障害を予防するとともに, 頭蓋の形態を改善し正常な成長を促すために, fronto-orbital advancement等の頭蓋骨再建手術が行われる3). しかし, 中顔面の劣成長は改善されない...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 16; no. 4; pp. 196 - 204 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
15.12.2006
日本顎変形症学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
DOI | 10.5927/jjjd1991.16.196 |
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Summary: | 「緒言」Apert症候群は, 1906年フランスのApertによって初めて報告された常染色体優性遺伝性疾患である1). 出生頻度は約1/65,000人とまれで, 症状としては頭蓋縫合早期癒合により頭蓋の変形が生じ, 鼻根部の陥没, 両眼隔離, 上顎低形成, 眼球突出, 眼裂斜下などの中顔面の低形成, 重度の骨性皮膚性合指趾症等を伴う2). またApert症候群では, 頭蓋内圧亢進による二次的な脳や神経障害を予防するとともに, 頭蓋の形態を改善し正常な成長を促すために, fronto-orbital advancement等の頭蓋骨再建手術が行われる3). しかし, 中顔面の劣成長は改善されないために前歯被蓋改善や顔貌改善を行うには, 上顎複合体部の前方移動が必要となってくる. 骨延長術は近年顎顔面外科領域で盛んに行われており, 顔貌や咬合の改善を行った症例が多数報告されている4-6). しかしながら, Apert症候群患者に対して骨延長術後の上顎骨の移動様相を詳細に検討した報告は少ない7,8). そこで本論文では, Apert症候群3症例に対する術前, 術直後, 術後1年, 術後2年における上顎骨の延長量や後戻り量, 回転量を側面頭部X線規格写真にて明確にすることを目的として検討を行った. また, 下顎骨の回転変化も併せて検討した. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd1991.16.196 |