MRSA感染症に対するバンコマイシンの使用経験

MRSA感染症に対するバンコマイシン (Vancomycin, VCM) の単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与による有効性および安全性を検討し以下の成績を得た。 1. 有効性 (1) MRSA単独感染に対するVCM単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与の改善率はそれぞれ71.4% (5/7例), 77.8% (35/45例) であった。 (2) 複数菌感染に対してはVCM単独投与は症例が少なく, VCMとβ-ラクタム薬との併用投与の改善率は71.8% (28/39例) であった。 2. 細菌学的効果 (1) MRSA単独感染の菌消失率はVCM単独投与およびVCMとβ-ラ...

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 49; no. 8; pp. 782 - 799
Main Authors 小西, 敏郎, 西谷, 肇, 和田, 光一, 長谷川, 裕美, 清水, 喜八郎, 菅野, 治重, 北村, 諭, 野口, 行雄, 相馬, 一亥, 長谷川, 鎮雄, 折津, 愈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.08.1996
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.49.782

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Summary:MRSA感染症に対するバンコマイシン (Vancomycin, VCM) の単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与による有効性および安全性を検討し以下の成績を得た。 1. 有効性 (1) MRSA単独感染に対するVCM単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与の改善率はそれぞれ71.4% (5/7例), 77.8% (35/45例) であった。 (2) 複数菌感染に対してはVCM単独投与は症例が少なく, VCMとβ-ラクタム薬との併用投与の改善率は71.8% (28/39例) であった。 2. 細菌学的効果 (1) MRSA単独感染の菌消失率はVCM単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与でそれぞれ71.4% (5/7例), 68.2% (30/44例) であった。 (2) 複数菌感染の菌消失率はVCM単独投与では症例数が少ないが, VCMとβ-ラクタム薬の併用投与でMRSAのみの菌消失率は63.2% (24/38例), MRSAを含む複数菌の消失率は31.6% (12/38例) であった。 3. 安全性VCM単独投与およびVCMと他剤との併用投与時の副作用および臨床検査値異常の発現率はほぼ同程度であった。全体の異常例は16例 (9.5%) で, 副作用の内訳は全身発赤, 薬疹, 皮疹等であり, 臨床検査値異常では肝機能異常, 腎機能異常等であった。 4. VCMの血中濃度測定例は38例であった。VCM0.5g又は1gを1~2時間で点滴静注し, 点滴終了後1~2時間値はそれぞれ平均25.4μg/ml, 31.5μg/mlであり, トラフ値はそれぞれ平均15.2μg/ml, 14.4μg/mlであった。 5. 6例の臨床症例より分離したMRSA6株のFIC indexは全株相乗作用を示し, それらの症例の臨床効果は5例で改善以上であった。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.49.782