小児科領域におけるPanipenem/Betamipronの基礎的・臨床的検討に関する総合評価
新しく開発されたPanipenem/Betamipron (CS-976, PAPM/BP) の小児科領域各種感染症に対する基礎的・臨床的検討を目的として研究会を組織し, 参加17施設とその関連施設による協同研究を行い, 以下の成績を得た。 1. 血中濃度, 尿中排泄 PAPM/BPの小児での体内動態を10mg/10mg/kg, 20mg/20mg/kg及び30mg/30mg/kgの点滴静注にて検討した。PAPM/BPの最高血中濃度は共に点滴静注終了時にみられ, 10mg/10mg投与で26.72±8.78μg/ml/18.33±8.54μg/ml (平均±S. D.), 20mg/20mg投...
Saved in:
Published in | The Japanese Journal of Antibiotics Vol. 45; no. 2; pp. 208 - 227 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
1992
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0368-2781 2186-5477 |
DOI | 10.11553/antibiotics1968b.45.208 |
Cover
Summary: | 新しく開発されたPanipenem/Betamipron (CS-976, PAPM/BP) の小児科領域各種感染症に対する基礎的・臨床的検討を目的として研究会を組織し, 参加17施設とその関連施設による協同研究を行い, 以下の成績を得た。 1. 血中濃度, 尿中排泄 PAPM/BPの小児での体内動態を10mg/10mg/kg, 20mg/20mg/kg及び30mg/30mg/kgの点滴静注にて検討した。PAPM/BPの最高血中濃度は共に点滴静注終了時にみられ, 10mg/10mg投与で26.72±8.78μg/ml/18.33±8.54μg/ml (平均±S. D.), 20mg/20mg投与で64.80±18.50μg/ml/38.74±16.41μg/ml, 30mg/30mg投与で91.70±29.42μg/ml/50.08±22.41μg/mlを示し, これら投与量間で用量依存性を認めた。血中半減期 (T 1/2) はPAPMが約1時間, BPが約0.5時間であった。尿中回収率は点滴静注開始後6時間までにPAPMが約30%, BPが約70%であった。 2. 臨床成績 総症例391例から除外・脱落例25例を除いた366例に2疾患合併の8例を加えた374例を臨床効果解析対象例として検討した。 起炎菌検出例の臨床効果は221例中215例が有効以上となり, 有効率は97.3%であった。起炎菌非検出例153例中145例が有効以上で有効率は94.8%となり, 起炎菌検出例と同等の高い有効率であった。 1日投与量は30~<60mg/kg (PAPMとして) 1日3回投与で全体の52.7%となり, その有効率は97.0%であつた。細菌学的効果はグラム陽性菌が90株中87株 (96.7%) 消失し, グラム陰性菌が149株中136株 (91.3%) 消失した。起炎菌全体に対する除菌率は93.4%であった。 3日以上先行投与された他抗菌剤無効例に対する本剤の有効率は95.9% (71例/74例) で, 細菌学的効果はグラム陽性菌に対し100% (17株/17株), グラム陰性菌に対し86.2% (25株/29株) の除菌率を示した。 3. 副作用・臨床検査値異常安全性に対する検討は11例を除いた380例で行つた。副作川は9例 (2.4%) に認められ, 発疹3例 (0.8%), 蕁麻疹1例 (0.3%), 軟便2例 (0.5%), 下痢3例 (0.8%) であった。臨床検査値異常は64例にみられ, 血小板増加, 好酸球増加, トランスアミナーゼヒ昇が主であつた。副作用, 臨床検査値異常には特に重篤なものはなく, 本剤の投与中止又は投与終了により消失もしくは正常に復した。 |
---|---|
ISSN: | 0368-2781 2186-5477 |
DOI: | 10.11553/antibiotics1968b.45.208 |