慢性関節リウマチとサイトカイン

慢性関節リウマチ(RA)は, 関節滑膜を病変の主座とする慢性かつ進行性の炎症性疾患です. RAの滑膜における病理組織学的特徴を大別すると, 以下の3点に集約されます1). (1)血管の新生 (2)リンパ球浸潤 (3)滑膜細胞の増殖 そして, このような変化が持続することにより, やがて軟骨, 骨の破壊が起こり, 関節組織の破壊にも至ります. なかでも, 滑膜細胞の増殖はいちじるしく, あたかも腫瘍のように自律性に増殖し, 軟骨, 骨を侵します. このような病変が起こる背景には, 免疫異常, 遺伝的要因, 内分泌異常, 環境要因などが複雑に関与していることが推測されていますが, その本態は, 不...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in炎症 Vol. 10; no. 6; pp. 437 - 443
Main Authors 宮坂, 信之, 檜垣, 恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 1990
日本炎症学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:慢性関節リウマチ(RA)は, 関節滑膜を病変の主座とする慢性かつ進行性の炎症性疾患です. RAの滑膜における病理組織学的特徴を大別すると, 以下の3点に集約されます1). (1)血管の新生 (2)リンパ球浸潤 (3)滑膜細胞の増殖 そして, このような変化が持続することにより, やがて軟骨, 骨の破壊が起こり, 関節組織の破壊にも至ります. なかでも, 滑膜細胞の増殖はいちじるしく, あたかも腫瘍のように自律性に増殖し, 軟骨, 骨を侵します. このような病変が起こる背景には, 免疫異常, 遺伝的要因, 内分泌異常, 環境要因などが複雑に関与していることが推測されていますが, その本態は, 不明といわざるをえないのが現状です. しかし最近になり, このような病理組織学的変化を起こす作用分子(effector molecules)としてサイトカインが注目されるようになりました.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.10.437