LC/MSによる土壌中有機汚染物質のスクリーニング法の開発─抽出方法及び条件の最適化に関する検討
本研究では,液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)を測定系とする土壌中有機汚染物質のスクリーニング法を開発するため,抽出方法及び条件の最適化に関する検討を行った.水溶解度が1.2~58000 mg L-1の農薬23物質を対象に添加回収試験を行った結果,土壌からの親水性物質の抽出には,非加熱式の抽出法が有効であることが確認された.本研究では,振とう法を対象に,溶媒組成,溶媒量,抽出時間について抽出条件の最適化を行った.その結果,溶媒組成はアセトニトリル・水混液(50/50, v/v%),溶媒量は試料2 gに対して4 mL以上,抽出時間は10分間以上であることが分かった.これらの条件に基づ...
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Published in | 分析化学 Vol. 64; no. 7; pp. 533 - 541 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
2015
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Summary: | 本研究では,液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)を測定系とする土壌中有機汚染物質のスクリーニング法を開発するため,抽出方法及び条件の最適化に関する検討を行った.水溶解度が1.2~58000 mg L-1の農薬23物質を対象に添加回収試験を行った結果,土壌からの親水性物質の抽出には,非加熱式の抽出法が有効であることが確認された.本研究では,振とう法を対象に,溶媒組成,溶媒量,抽出時間について抽出条件の最適化を行った.その結果,溶媒組成はアセトニトリル・水混液(50/50, v/v%),溶媒量は試料2 gに対して4 mL以上,抽出時間は10分間以上であることが分かった.これらの条件に基づく添加回収試験では,Thiramを除く22物質において回収率が86~106% の範囲であり,繰り返し分析の相対標準偏差は18% 以下であった.また,本研究では,抽出溶媒の組成が対象物質の抽出挙動に影響を及ぼすことが明らかになった.水溶解度が200 mg L-1程度以下の物質では,アセトニトリルの比率(0~50%)の増加に伴い,抽出効率が顕著に向上することが確認された. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.64.533 |