有害化学物質一斉分析用ガスクロマトグラフィー/質量分析法データベースの開発
環境や食品中の有害化学物質を一斉分析するための新しいガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)用データベースを開発した.本データベースには,マススペクトルのほかにGC保持時間情報と検量線情報が登録され,試料中の登録物質を1時間以内にすべて同定・定量できる.n-アルカンを保持指標物質として,同一のGC条件下では,試料測定時での登録物質の保持時間を±3秒以内の誤差で予測し,確実な同定ができた.また,異なる昇温条件やキャリヤーガス線速度でも,予測保持時間±1% の範囲に登録物質が出現した.定量では,装置性能評価標準物質を用いてGC注入口やカラム及びチューニング条件を調整することにより,ペンタク...
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Published in | 分析化学 Vol. 53; no. 6; pp. 581 - 588 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
2004
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Summary: | 環境や食品中の有害化学物質を一斉分析するための新しいガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)用データベースを開発した.本データベースには,マススペクトルのほかにGC保持時間情報と検量線情報が登録され,試料中の登録物質を1時間以内にすべて同定・定量できる.n-アルカンを保持指標物質として,同一のGC条件下では,試料測定時での登録物質の保持時間を±3秒以内の誤差で予測し,確実な同定ができた.また,異なる昇温条件やキャリヤーガス線速度でも,予測保持時間±1% の範囲に登録物質が出現した.定量では,装置性能評価標準物質を用いてGC注入口やカラム及びチューニング条件を調整することにより,ペンタクロロフェノールなどの非常に吸着しやすい一部の高極性物質を除き,測定値の相対標準偏差は20% 以下であった.感度の面では,登録物質の90% 以上が100 pg以下で検出可能であり,実用上十分な感度であった.以上から,本データベースを用いることにより,標準物質を測定することなく,1000種以上の有害化学物質の迅速分析が可能であり,環境や食品中の化学物質の安全性評価に適用できる. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.53.581 |