全部床義歯の製作過程におけるPiezographyの適用 印象材の検討

「I. 緒言」顎堤の吸収が極度に進行した無歯顎患者に対して, 維持, 安定の良好な全部床義歯を製作するためには, その形態を周囲組織の動態に適合させることが一般に有効とされている. これまで義歯床研磨面の形態や人工歯の排列位置を決定するための目安となるデンチャースペースを求める方法としては, Lottら1)によりフレンジテクニックが, また日本においては坪根2)により筋圧維持法がそれぞれ報告されている. これらはいずれも頬, 口唇, 舌などの義歯周囲組織の動態を, ソフトワックスやコンパウンドなどの軟性材料を用いて記録することを基本としている. しかし, それらの術式に対して適用する材料の取り...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 981 - 984
Main Authors 奥野, 幾久, 安井, 栄, 野首, 孝祠, 長島, 正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本補綴歯科学会 10.12.1998
日本補綴歯科学会
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ISSN0389-5386
1883-177X
DOI10.2186/jjps.42.981

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Summary:「I. 緒言」顎堤の吸収が極度に進行した無歯顎患者に対して, 維持, 安定の良好な全部床義歯を製作するためには, その形態を周囲組織の動態に適合させることが一般に有効とされている. これまで義歯床研磨面の形態や人工歯の排列位置を決定するための目安となるデンチャースペースを求める方法としては, Lottら1)によりフレンジテクニックが, また日本においては坪根2)により筋圧維持法がそれぞれ報告されている. これらはいずれも頬, 口唇, 舌などの義歯周囲組織の動態を, ソフトワックスやコンパウンドなどの軟性材料を用いて記録することを基本としている. しかし, それらの術式に対して適用する材料の取り扱いがやや困難であること, また義歯床研磨面を形成する際の機能運動と, 熱可塑性材料の軟化温度領域から徐々にあるいは部分的に硬化していく過程のなかで形成された面との関係が不明確であること, また高齢者に対して術者の意図した運動を行わせることが困難であり, 再現性に関しても問題が残ることなどが考えられる.
ISSN:0389-5386
1883-177X
DOI:10.2186/jjps.42.981