四ホウ酸リチウムガラスビード粉末を直接導入した黒鉛炉原子吸光分析法による岩石中のジスプロシウムの定量

岩石中のDyを固体直接導入/黒鉛炉原子吸光分析法で定量する方法を開発した.ガラスビード/蛍光X線分析法で用いたガラスビードの再利用及びクロスチェックを想定しているので,岩石は四ホウ酸リチウムでガラスビードにして分析に供した.ガラスビード粉末にグラファイト粉末を重量比1 : 3で混合し,これを1.0~2.0 mgプラットフォームに分け取ってグラファイト炉に入れ,最適化した加熱プログラムで原子化して積分吸光度を求めた.定量は,岩石標準試料のガラスビード粉末で作成しておいた検量線を用いて行った.ガラスビード粉末にグラファイト粉末を混合することで,グラファイト炉やプラットフォームの寿命が延び,Dyの積...

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Published in分析化学 Vol. 64; no. 8; pp. 595 - 600
Main Authors 荒木, 俊充, 乾, 哲朗, 中村, 利廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2015
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Summary:岩石中のDyを固体直接導入/黒鉛炉原子吸光分析法で定量する方法を開発した.ガラスビード/蛍光X線分析法で用いたガラスビードの再利用及びクロスチェックを想定しているので,岩石は四ホウ酸リチウムでガラスビードにして分析に供した.ガラスビード粉末にグラファイト粉末を重量比1 : 3で混合し,これを1.0~2.0 mgプラットフォームに分け取ってグラファイト炉に入れ,最適化した加熱プログラムで原子化して積分吸光度を求めた.定量は,岩石標準試料のガラスビード粉末で作成しておいた検量線を用いて行った.ガラスビード粉末にグラファイト粉末を混合することで,グラファイト炉やプラットフォームの寿命が延び,Dyの積分吸光度も著しく向上した.さらに,融剤の四ホウ酸リチウムが岩石中のDyの直接原子化時に増感効果をもたらすことも明らかになった.火山岩標準試料のガラスビード粉末を用いて作成したDyの検量線は1.4 ngまで良好な直線性(r=0.998)を示し,検出下限は0.07 ngであった.この検量線を深成岩標準試料中のDyの定量に応用したところ,分析値と参照値は良く一致し,相対標準偏差(n=5)は6.6~8.9% で,再現性も良好であった.さらに,本邦産の3岩石試料中のDyを定量したところ,ガラスビード/蛍光X線分析法で定量下限以下であったDyを定量することができた.本法はガラスビードの再利用及びクロスチェックの方法として有用であった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.64.595