高校サッカー部でのメディカルサポート活動報告

【目的】 我々は2008年6月より高校サッカー部のメディカルサポートを行う機会を得た.そこで年間を通しての傷害発生状況を調査すると共に,理学療法士として病院業務と並行しながら活動することの問題点を明確にするため,活動内容を報告する.【年間活動内容】 昨年度のチーム構成は部員62名(1年20名・2年19名・3年23名),スタッフ4名(監督1名,コーチ2名,トレーナー1名).年間スケジュールは公式大会・県リーグ戦を含め6大会,それ以外の週末にはほぼ毎週試合が組まれている.オフは年末年始・御盆でそれぞれ4日,試合翌日は自主トレーニング,学校のテスト期間中は朝練習のみとなっている. 現在,週2回前後ト...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 194
Main Authors 小田, 桂吾, 照沼, 祐治, 鈴木, 恒, 佐藤, 誠一郎, 平野, 篤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.194.0

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Summary:【目的】 我々は2008年6月より高校サッカー部のメディカルサポートを行う機会を得た.そこで年間を通しての傷害発生状況を調査すると共に,理学療法士として病院業務と並行しながら活動することの問題点を明確にするため,活動内容を報告する.【年間活動内容】 昨年度のチーム構成は部員62名(1年20名・2年19名・3年23名),スタッフ4名(監督1名,コーチ2名,トレーナー1名).年間スケジュールは公式大会・県リーグ戦を含め6大会,それ以外の週末にはほぼ毎週試合が組まれている.オフは年末年始・御盆でそれぞれ4日,試合翌日は自主トレーニング,学校のテスト期間中は朝練習のみとなっている. 現在,週2回前後トレーナーとして携わっている.活動内容は,練習時は競技復帰に向けたアスレッティックリハビリテーション(以下,アスリハ),試合前のテーピング,試合中・後のケア及びスタッフへの傷害発生状況の報告を行っている.また新入生のメディカルチェック,セルフケア指導,夏休み前には全部員に対し栄養指導を行った.【傷害発生状況】 昨年度,傷害発生は総計72件であり,そのうち外傷は50件(69.4%),障害は22件(30.6%)であった.部位別としては足部19件(26.4%),大腿15件(20.8%),膝関節14件(19.4%),上肢11件(15.3%),下腿8件(11.1%),体幹4件(5.6%),顔面1件(1.4%)であった.特に捻挫が14件(19.4%)と最も多かった.手術例は膝前十字靱帯再建術・Jones骨折の2件であった.【考察】 傷害発生状況は他の先行報告同様,下肢の傷害が半数以上を占めており,サッカーの特徴といえる.高校生の年代では,Jリーグの傷害報告と比べ肉離れなどの筋損傷の発生が比較的少なく,骨端線損傷や疲労性骨障害が多いとされている.当チームにおいても全体の3割程度がシンスプリントや膝関節周囲などの過用性障害であった.その発生要因として練習に持久系疾走メニューが多いことが考えられ今後,障害発生予防のため,下肢の柔軟性等、コンディションに注意することが発生予防に繫がると考えられた.現在,スポーツ現場で活動する多くの理学療法士は病院や教育機関に籍を置きながらチームに関わっている者がほとんどであり関われる回数は限られ,チーム内のすべての選手のコンディショニングを細かに把握することは難しい.そこで我々は県内の理学療法士の有志を募って茨城県アスリハ研究会を設立し,医療機関とスポーツ現場との連携を密にし,選手自身がセルフコンディショニングするための教育に加え,指導者向けのスポーツ傷害・コンディショニングの講習等を行うことで我々の活動の認知を得,トレーナー介入後の傷害発生数を継続的に調査し,発生数の減少を提示できれば多くの高校部活動にトレーナーの必要性を得ることができるのではないかと考える.
Bibliography:92
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.194.0