サイクリックフローインジェクション分析法による連続定量とモニタリング

一流路系のフローシステムを構築して,フローセルを通過した試薬溶液を廃棄することなく,繰り返し試薬溶液として利用する,サイクリックフローインジェクション法について述べた.試薬溶液中において,主反応に対して逆向きに作用する阻害剤(inhibitor)の共存下で検出・定量を行うという,新しいコンセプトを導入して,試薬溶液の繰り返し利用を可能にした.また,イオン交換,あるいはキレート樹脂を充填したカラムを系内に導入して,試料と反応後の試薬再生にも成功した. 緩衝液の緩衝能を利用した強酸・強塩基の定量,塩化銀沈殿がアンモニア溶液に溶解することを利用した塩化物イオンの定量,エチレンジアミン四酢酸存在下4-...

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Published in分析化学 Vol. 53; no. 4; pp. 245 - 254
Main Author 善木, 道雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2004
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.53.245

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Summary:一流路系のフローシステムを構築して,フローセルを通過した試薬溶液を廃棄することなく,繰り返し試薬溶液として利用する,サイクリックフローインジェクション法について述べた.試薬溶液中において,主反応に対して逆向きに作用する阻害剤(inhibitor)の共存下で検出・定量を行うという,新しいコンセプトを導入して,試薬溶液の繰り返し利用を可能にした.また,イオン交換,あるいはキレート樹脂を充填したカラムを系内に導入して,試料と反応後の試薬再生にも成功した. 緩衝液の緩衝能を利用した強酸・強塩基の定量,塩化銀沈殿がアンモニア溶液に溶解することを利用した塩化物イオンの定量,エチレンジアミン四酢酸存在下4-(2-ピリジルアゾ)レゾルシノールによる銅(II)イオンの定量,多量の酸化剤存在下,鉄-フェナントロリン錯体の酸化・還元系を利用したアスコルビン酸の定量,イオン交換,キレート樹脂カラムを組み込んだカルシウム,銅(II)イオンの定量について述べた. サイクリックフローインジェクション法は,試薬溶液量を最小限に調製できるので,ゼロエミッションの理念に沿った分析法となる.また,単純化されたシステムにより,再現性,精度,耐久性に極めて優れた分析法で,品質・工程管理におけるモニタリングやルーチン分析に適している.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.53.245