炭酸カルシウムへの2価重金属イオンの吸着挙動

炭酸カルシウム(カルサイト)結晶表面上への2価重金属イオンM2+(Co2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Pb2+)の吸着挙動を25.0℃ で調べた.カルサイトで飽和した溶液から,重金属イオンをカルサイトへ吸着させ,溶液内の金属イオン濃度(CM)及び結晶上の濃度(CM,S)を誘導結合プラズマ質量分析法により測定した.Co2+,Zn2+,Cd2+及びPb2+の分配比(D=CM,S/CM)はpHにのみ依存し,pHに対するlog Dのプロットの傾きは2もしくは1~2であった.溶液内における金属イオンのヒドロキソ錯体の生成を考慮した解析により,無電荷のM(OH)2が吸着化学種であることが分かった.一方...

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Published in分析化学 Vol. 53; no. 2; pp. 101 - 107
Main Authors 小林, 仁美, 佐藤, 敬一, 澤田, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2004
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.53.101

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Summary:炭酸カルシウム(カルサイト)結晶表面上への2価重金属イオンM2+(Co2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Pb2+)の吸着挙動を25.0℃ で調べた.カルサイトで飽和した溶液から,重金属イオンをカルサイトへ吸着させ,溶液内の金属イオン濃度(CM)及び結晶上の濃度(CM,S)を誘導結合プラズマ質量分析法により測定した.Co2+,Zn2+,Cd2+及びPb2+の分配比(D=CM,S/CM)はpHにのみ依存し,pHに対するlog Dのプロットの傾きは2もしくは1~2であった.溶液内における金属イオンのヒドロキソ錯体の生成を考慮した解析により,無電荷のM(OH)2が吸着化学種であることが分かった.一方,Cu2+の分配比はpHに依存せず,カルシウムイオン濃度に依存するという特異性を示した.これらより,吸着化学種は他の金属イオンと異なりCu(CO3) と推測された.結晶の粉砕により生成した粗い表面への吸着の分配比は,熟成した滑らかな表面と比べはるかに大きく,1~2けた大きな値を示した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.53.101