マクロベントス相における種の豊富さ, 現存量, 多様度指数, 絶滅危惧種を用いた干潟の評価

南西諸島から北海道に至る全国10ヶ所の干潟においてマクロベントスの定量採集を行い, 主要な分類群により干潟をグループに分け, 種の豊富さ, 現存量, 種の多様度と均等度, 絶滅危惧種の数などを比較した.多様度指数は種数と湿重量の割合から算出した.湿重量に基づき干潟を分類すると, 二枚貝優占型, 多毛類優占型, その他に分けられた.その他には, 根足虫, 甲殻類, 巻貝, 二枚貝, 多毛類, 魚類, またはそれらの複数が優占するものが含まれた.また, 砂質干潟では貝類が優占し, 砂泥質・泥質干潟では多毛類が優占することが多かった.単位面積あたりの種数(種の豊富さ)と湿重量(現存量)との間には有意...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in保全生態学研究 Vol. 10; no. 1; pp. 35 - 45
Main Authors 古賀, 庸憲, 佐竹, 潔, 矢部, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生態学会 2005
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:南西諸島から北海道に至る全国10ヶ所の干潟においてマクロベントスの定量採集を行い, 主要な分類群により干潟をグループに分け, 種の豊富さ, 現存量, 種の多様度と均等度, 絶滅危惧種の数などを比較した.多様度指数は種数と湿重量の割合から算出した.湿重量に基づき干潟を分類すると, 二枚貝優占型, 多毛類優占型, その他に分けられた.その他には, 根足虫, 甲殻類, 巻貝, 二枚貝, 多毛類, 魚類, またはそれらの複数が優占するものが含まれた.また, 砂質干潟では貝類が優占し, 砂泥質・泥質干潟では多毛類が優占することが多かった.単位面積あたりの種数(種の豊富さ)と湿重量(現存量)との間には有意な正の相関があった.Shannon-WienerのH'とE, SimpsonのD, 相対優占度曲線による多様性の評価結果は, 概ね一致していた.ところが, 種の豊富さと現存量の多さは, 多様度指数や均等度による評価と必ずしも一致しなかった.有明海の2ヶ所の調査地点は, 種の豊富さと現存量では評価は高くなく, 更にそのうち1ヶ所では多様度指数による評価も低かったが, どちらにおいても絶滅危惧種が多数採集された.これらの結果より, 干潟の評価には多面的な比較が必要であることが示唆された.
ISSN:1342-4327
2424-1431
DOI:10.18960/hozen.10.1_35