重さ判断に及ぼす把持条件

物体を把持するとき, その物体の視覚的大きさや材質感から重さを推定し, それに適した力を手や指に伝える. しかし, 2つの物体の材質と重量が同じとき, 大きな体積の物体は小さな体積の物体より軽いと判断される錯覚現象 (Size-Weight Illusion) がある. 本研究では, 視覚情報を遮断し, 触覚情報のみによる仮想物体を用い, 上記の錯覚現象から, 把持条件と重さ判断の関係を明らかにした. 仮想物体をイメージさせる把持条件として, (1) 把持する2本の指の間隔, (2) 把持圧の2条件を設定した. その結果, 仮想物体の重さ感を常に等しくするためには, 把持する2本の指の間隔の2...

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Published in人間工学 Vol. 33; no. 6; pp. 379 - 384
Main Authors 倉井, 賢一, 飯田, 健夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 1997
日本人間工学会
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Summary:物体を把持するとき, その物体の視覚的大きさや材質感から重さを推定し, それに適した力を手や指に伝える. しかし, 2つの物体の材質と重量が同じとき, 大きな体積の物体は小さな体積の物体より軽いと判断される錯覚現象 (Size-Weight Illusion) がある. 本研究では, 視覚情報を遮断し, 触覚情報のみによる仮想物体を用い, 上記の錯覚現象から, 把持条件と重さ判断の関係を明らかにした. 仮想物体をイメージさせる把持条件として, (1) 把持する2本の指の間隔, (2) 把持圧の2条件を設定した. その結果, 仮想物体の重さ感を常に等しくするためには, 把持する2本の指の間隔の2乗, あるいは把持圧に比例して加重する傾向のあること, すなわち, 同じ重さならば把持幅, 把持圧の増加とともに軽く感じられることが明らかとなった. 把持条件のみによって得られたこの特性は, 仮想空間における物体のハンドリングにおいて考慮すべき要因であることが言及された.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.33.379