ステッピング動作からみた高齢者の姿勢調節

【はじめに】姿勢調節の評価測定は様々な角度から検討されてきている。静的立位姿勢における立位姿勢調節や身体重心を移動する動作課題による動的立位姿勢調節が中心的な評価となっている。今回,地域特定高齢者に対して動的立位姿勢調節を評価する目的でステッピング動作を行い,その運動軌跡からより動的な姿勢調節について検討する。【方法】対象は地域特定高齢者6名(平均年齢73±6.9歳)。ステッピング動作の計測は対象者に床反力計上にて開脚立位(30cm)で左右下肢均等に荷重した状態の立位姿勢を保持し,開始姿勢とした。開始姿勢から前へ一側下肢を一歩踏み出し開始姿勢へ戻り,続けて後ろへ踏み出し開始姿勢へ戻ることを合計...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 129
Main Authors 豊田, 平介, 山本, 紘靖, 金枝, 芳明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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Summary:【はじめに】姿勢調節の評価測定は様々な角度から検討されてきている。静的立位姿勢における立位姿勢調節や身体重心を移動する動作課題による動的立位姿勢調節が中心的な評価となっている。今回,地域特定高齢者に対して動的立位姿勢調節を評価する目的でステッピング動作を行い,その運動軌跡からより動的な姿勢調節について検討する。【方法】対象は地域特定高齢者6名(平均年齢73±6.9歳)。ステッピング動作の計測は対象者に床反力計上にて開脚立位(30cm)で左右下肢均等に荷重した状態の立位姿勢を保持し,開始姿勢とした。開始姿勢から前へ一側下肢を一歩踏み出し開始姿勢へ戻り,続けて後ろへ踏み出し開始姿勢へ戻ることを合計9歩行った。課題試行時間は20秒程度として時間内で終了する至適速度にて行った。分析方法はステップ動作時の足圧中心点の移動運動軌跡および左右下肢におけるステップ動作時の荷重変化をプロットしグラフより分析を行った。また対象者へ今回の研究に関して説明を行い,同意を得た。【結果】スッテッピング動作時における足圧中心の移動運動軌跡は軸足下肢を起点として移動した一側下肢に対する前後,側方における3方向への軌跡がプロットされた。各方向への軌跡が比較的直線的な対象者3名,軌跡の不一致やばらつきが多い対象者3名となった。特に後方への踏み出しでは全体的に動揺することが認められた。ステッピング動作時の荷重変化におけるプロットではグラフより直線的な荷重変化を示したのは3名,曲線的な変化を示したのは3名であった。足圧中心の移動運動軌跡と荷重変化の関係は両結果の対応が一致した対象者は4名であり,2名は一致しなかった。【考察】ステッピング動作における姿勢調節の役割を考えると,身体各分節の配置が支持基底面と足圧中心との位置を決定することで表され,動作時における各姿勢の動的変化の連続性として反映される。すなわち足圧中心の変化は身体における動的変化の集約として評価できると考えられる。結果からも足圧中心の運動軌跡は動作の遂行における円滑性への指標になり,その後の変化への指標にもなりえる。また共通した後方への移動の動揺性は高齢者の身体重心の移動という付随的な応答の姿勢調節が高齢者において方向選択的に低下していることを示す。左右下肢の荷重変化のグラフでは体重移動における姿勢調節を表し,曲線的な変化は体重移動の低下つまり,姿勢調節の低下を表していると考えられる。【まとめ】運動軌跡の変化や荷重変化をプロットすることで身体動揺や動作の円滑性の程度より姿勢調節能力の評価として有用である。
Bibliography:129
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.129.0