片脚着地動作時の筋電図学的検討

【目的】 ACL損傷後の復帰課題およびACL損傷予防として、Knee inの制御を目的としたトレーニングや動作の修得が重要であるとする報告は多い。また内側ハムストリングス(以下M-H)の活動が脛骨の外旋を抑制しKnee inの制御に働くとも報告されている。さらにKnee inの制御に、股関節を外転・外旋させ下肢アライメントを整えることで、制御する機構も確認されている。そこで、本研究ではNoncontactでのACL損傷機転として多く報告されている片脚着地動作を課題動作とし、内外側ハムストリングスの活動比、ならびに股関節外転外旋に関与する中殿筋(以下G-m)、大腿筋膜張筋(以下TFL)の活動比を...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 30; p. 234
Main Authors 岩崎, 翼, 福田, 潤, 宮本, 梓, 加藤, 啓祐, 宇良田, 大悟, 坂本, 直文, 新井, 真奈美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2011
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.30.0.234.0

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Summary:【目的】 ACL損傷後の復帰課題およびACL損傷予防として、Knee inの制御を目的としたトレーニングや動作の修得が重要であるとする報告は多い。また内側ハムストリングス(以下M-H)の活動が脛骨の外旋を抑制しKnee inの制御に働くとも報告されている。さらにKnee inの制御に、股関節を外転・外旋させ下肢アライメントを整えることで、制御する機構も確認されている。そこで、本研究ではNoncontactでのACL損傷機転として多く報告されている片脚着地動作を課題動作とし、内外側ハムストリングスの活動比、ならびに股関節外転外旋に関与する中殿筋(以下G-m)、大腿筋膜張筋(以下TFL)の活動比を測定し、Knee inとの関係性を検討することを目的とした。 【対象と方法】 膝関節に愁訴のない健常成人12名(男性10名、女性2名、平均年齢30.3±7.0歳)を対象とした。筋電図の測定は下野の手法を参考に、M-H、外側ハムストリングス(以下L-H)、また股関節の回旋筋であるG-m、TFLに、表面電極を貼付した。課題動作は、各被検者の利き足での片脚立位を開始肢位とし、30cm台から前方への落下(以下Front step)、外側への落下(以下Lateral step)、内側への落下(Medial step)の3方向とした。着地地点に床反力計を設置し、Kogaらの報告を基に、ACL損傷のクリティカルタイムである着地からの0.4秒の筋電波形を抽出した。加賀谷らの報告からKnee inの指標としてKnee in distance(KID)を測定しM-HとL-Hの活動比、G-mとTFLの活動比をKIDと比較し、ピアソンの相関係数を用いて検討した。活動比は積分値として抽出されたデータを基に、ハムストリングス全体の活動に対する内外側それぞれの活動の割合を、また股関節外旋筋の活動に対するそれぞれの活動の割合を算出した。 【結果】 Front stepにおいてKIDとM-Hの活動において弱い相関(r=0.35)を認めた。Front stepにおいてKIDとG-mの活動に中等度の負の相関(r=-0.52)を認めた。Lateral stepではKIDとM-Hの活動に弱い相関(r=0.28)を認めた。Lateral stepではKIDと中殿筋の活動に弱い相関(r=0.23)を認めた。Medial stepでは有意な相関は認めなかった。 【考察】 M-Hの付着部から推定される下腿内旋機能から、Knee-inを制御するためにM-Hが作用することが考えられる。今回の結果からは、KIDの増加とともにM-Hの活動比も上昇する傾向を認めた。KIDの増加は、膝外反角の増加を示すことから、M-Hが遠心的に作用し活動比が増加していることが示唆される。またKIDとG-mに負の相関を認めたことから、Knee inの制御には、股関節の外旋作用が関与していることが示唆される。さらに、膝外反モーメントが強く働くと予想されたMedial stepにおいて、有意な相関関係が認められなかったことから、このような動作では膝関節、股関節による制御は困難であり、下肢以外の要素によって制御される可能性も示唆される結果となった。
Bibliography:P2-13-120
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.30.0.234.0