多段階相互評価法による学習の実践と効果(<特集>協調学習とネットワーク・コミュニティ)

学習者間の相互評価を多段階に行う「多段階相互評価法」を用いた学習を100人以上の多人数一斉授業の授業時間外課題として,ICTを用いて実践し,学習効果を調査した.多段階相互評価の学習は,通常の課題提出を行う第一段階,その提出内容を学習者相互で評価し合う第二段階,第二段階での評価の妥当性を吟味する第三段階から成る.著者らは,このような独自の多段階相互評価機能を所属大学の教育学習支援システムの中に実装し,(1)知識定着,(2)意見の明確化,(3)提出内容の質的向上,の3つの目的で用い,その効果を調査した.いずれも効果的な学習がなされ,多段階相互評価の有用性が示された.多段階相互評価学習は,他者の評価...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本教育工学会論文誌 Vol. 33; no. 3; pp. 287 - 298
Main Authors 布施, 泉, 岡部, 成玄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育工学会 01.01.2010
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:学習者間の相互評価を多段階に行う「多段階相互評価法」を用いた学習を100人以上の多人数一斉授業の授業時間外課題として,ICTを用いて実践し,学習効果を調査した.多段階相互評価の学習は,通常の課題提出を行う第一段階,その提出内容を学習者相互で評価し合う第二段階,第二段階での評価の妥当性を吟味する第三段階から成る.著者らは,このような独自の多段階相互評価機能を所属大学の教育学習支援システムの中に実装し,(1)知識定着,(2)意見の明確化,(3)提出内容の質的向上,の3つの目的で用い,その効果を調査した.いずれも効果的な学習がなされ,多段階相互評価の有用性が示された.多段階相互評価学習は,他者の評価や意見交換等の学習者間の相互作用を考慮しているにも関わらず,個別学習と同等の形式で時間外学習として行える自由度を持つ.大学における学習の質的向上に資するものと考えられる.
ISSN:1349-8290
2189-6453
DOI:10.15077/jjet.KJ00005982011