ハロゲン化物生成気化/高周波誘導結合プラズマ発光分光法による自動車排出粒子中の亜鉛の定量法

本研究は,電気加熱黒鉛炉で亜鉛を揮発性塩化物に変換し,高周波誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES)に導入するハロゲン化物生成気化法(halide vapor generation,HVG)の開発を行った.黒鉛炉には,不活性ガス融解-赤外線吸収法のインパルス炉を用いた.塩化亜鉛,硝酸亜鉛,硫酸亜鉛の各溶液に,塩化物生成のための化学修飾剤として塩化アンモニウムを50 mg/ml添加した.試料溶液10 μlを黒鉛るつぼに注入後,100℃-120秒で乾燥,2000℃-5秒で塩化亜鉛として蒸発揮散させICPへ導入し,213.86 nmの亜鉛の発光強度を0.2秒ごとに積算してピーク面積値を用いて測定...

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Published in分析化学 Vol. 54; no. 5; pp. 355 - 360
Main Authors 内原, 博, 池田, 昌彦, 中原, 武利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2005
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Summary:本研究は,電気加熱黒鉛炉で亜鉛を揮発性塩化物に変換し,高周波誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-AES)に導入するハロゲン化物生成気化法(halide vapor generation,HVG)の開発を行った.黒鉛炉には,不活性ガス融解-赤外線吸収法のインパルス炉を用いた.塩化亜鉛,硝酸亜鉛,硫酸亜鉛の各溶液に,塩化物生成のための化学修飾剤として塩化アンモニウムを50 mg/ml添加した.試料溶液10 μlを黒鉛るつぼに注入後,100℃-120秒で乾燥,2000℃-5秒で塩化亜鉛として蒸発揮散させICPへ導入し,213.86 nmの亜鉛の発光強度を0.2秒ごとに積算してピーク面積値を用いて測定した.硝酸亜鉛と硫酸亜鉛では,約20倍以上の増感効果が得られた.亜鉛量0~1000 ngの範囲で直線関係が得られ,相関係数は0.999であった.本法による相対標準偏差は1.4~4.3%(n =6)で,検出下限(空試験値の標準偏差の3倍)は約60 pgであった.本法を自動車排出粒子中の亜鉛の分析に適用したところ,共存元素の影響を受けることなく測定可能であった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.54.355