新たに見出した好中球NADPH oxidaseの構成成分p40-phox

好中球は, 生体防御において重要な役割を果たしている. 好中球の主な機能は, 生体内に侵入した細菌, 微生物に向かって遊走し, これら侵入物を貪食した後, 殺菌することである. 好中球の殺菌機構は, 大きく酸素非依存性と酸素依存性の二つにわけられている. 酸素非依存性の殺菌とは, 食胞が顆粒と融合した後, 顆粒内に存在する殺菌性蛋白質や蛋白分解酵素が作用して殺菌を行うことである. 一方, 酸素依存性の殺菌とは, 貪食に伴い酸素代謝が増大し, その結果, 産生されるスーパーオキシドアニオン(O2-)および, その代謝産物が関与する殺菌のことをいう1). O2-はNADPH oxidaseとよばれ...

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Published in炎症 Vol. 18; no. 3; pp. 181 - 189
Main Author 染谷, 明正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 30.05.1998
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.18.181

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Summary:好中球は, 生体防御において重要な役割を果たしている. 好中球の主な機能は, 生体内に侵入した細菌, 微生物に向かって遊走し, これら侵入物を貪食した後, 殺菌することである. 好中球の殺菌機構は, 大きく酸素非依存性と酸素依存性の二つにわけられている. 酸素非依存性の殺菌とは, 食胞が顆粒と融合した後, 顆粒内に存在する殺菌性蛋白質や蛋白分解酵素が作用して殺菌を行うことである. 一方, 酸素依存性の殺菌とは, 貪食に伴い酸素代謝が増大し, その結果, 産生されるスーパーオキシドアニオン(O2-)および, その代謝産物が関与する殺菌のことをいう1). O2-はNADPH oxidaseとよばれるスーパーオキシド産生酵素が貪食に伴って活性化されることにより産生される. 近年, O2-産生に関する研究は, NADPH oxidaseの酵素本体ならびに活性化機構について精力的に行われてきた. そして, NADPH oxidaseは複数の成分から構成される複合酵素系であり, 各成分どうしが刺激によって会合し, 活性型のNADPH oxidase複合体となることで, O2-を産生することが明らかとなった2~5).
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.18.181