FK037のラット肝アルデヒド脱水素酵素および薬物代謝酵素系に及ぼす影響

今回,FKO37 のラットの肝アルデヒド脱水素酵素および薬物代謝酵素系に及ぼす影響について検討した. 1.FKO37 を雄性ラットに静脈内投与24時間後にエタノールを負荷し,1および3時間後の血中アセトアルデヒド濃度を測定し,ジスルフィラム様作用への影響を対照群および positivecontrol のセフォペラゾンおよびジスルフィラム投与群と比較検討した.FKO37 100 および 1000mg/kg 投与群では,血中アセトアルデヒド濃度は対照群と比し有意な変動を示さなかった。一方,セフォペラゾン 1000mg/kg およびジスルフィラム 500mg/kg 投与群では,血中アセトアルデヒド濃...

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Published in薬物動態 Vol. 10; no. 3; pp. 359 - 368
Main Authors 上田, 佳子, 竹下, 浩二, 丹羽, 俊朗, 戸塚, 善三郎, 徳間, 洋二, 成富, 洋一, 斉藤, 直美, 寺下, 茂之, 平岩, 智子, 秦, 武久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬物動態学会 1995
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ISSN0916-1139
DOI10.2133/dmpk.10.359

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Summary:今回,FKO37 のラットの肝アルデヒド脱水素酵素および薬物代謝酵素系に及ぼす影響について検討した. 1.FKO37 を雄性ラットに静脈内投与24時間後にエタノールを負荷し,1および3時間後の血中アセトアルデヒド濃度を測定し,ジスルフィラム様作用への影響を対照群および positivecontrol のセフォペラゾンおよびジスルフィラム投与群と比較検討した.FKO37 100 および 1000mg/kg 投与群では,血中アセトアルデヒド濃度は対照群と比し有意な変動を示さなかった。一方,セフォペラゾン 1000mg/kg およびジスルフィラム 500mg/kg 投与群では,血中アセトアルデヒド濃度は顕著に上昇した.さらに,FKO37 を雄性ラットに静脈内投与24時間後に動物を屠殺し,肝ミトコンドリア画分のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)活性を測定,ALDHへの影響をセフォペラゾソおよびジスルフィラムと比較した.FKO37 を 100 或いは 1000mg/kg 投与しても,肝ミトコンドリア画分の低Km-および高Km-ALDHの活性は対照群と比して有意な変動を示さなかった.一方,セフォペラゾンを 1000mg/kg,ジスルフィラムを 500mg/kg 投与した群では,低Km-ALDH 活性が各々,対照群の37%,17%まで低下していた。さらに,in vitroにおいてジスルフィラム,セフォペラゾンおよびセフォペラゾンの3位側鎖が脱離して生じるMTTでは濃度依存的に阻害作用が認められたのに対し,FKO37 および FKO37 の3位側鎖が脱離して生じると考えられるAHPではその様な阻害は見られなかった.以上の結果より,FK037 はジスルフィラム様作用を示さないものと判断された. 2.FKO37 を 20 および 100mg/kg の用量で雄性ラットに3日間反復静脈内投与後の肝薬物代謝酵素系であるチトクロームP-450,チトクロームb5含量,NADPH-チトクロームc還元酵素活性および P-450 依存性酵素活性であるアミノピリン脱メチル化活性,アニリン水酸化活性,エトキシレゾルフィン脱エチル化活性に及ぼす影響を検討した.いずれの投与群においても肝薬物代謝酵素含量および活性は対照群に比べて有意な変動は認められなかったことより,FKO37 はラットに反復投与しても肝薬物代謝酵素系への影響は小さいものと推察された.
ISSN:0916-1139
DOI:10.2133/dmpk.10.359