液体・固体用遠紫外分光法の開発とその分析化学への応用

遠紫外域(120~200 nm)には様々な電子遷移による吸収バンドが観測されるので,この領域は基礎研究からも応用の立場からも非常に魅力的である.しかしながら,これまで遠紫外域における液体,固体試料のスペクトル測定は,それらの非常に強い吸収ピークを含めた吸収強度フルスケールの吸収バンドを観測できる装置がなかったため極めて限られるものであった.著者らは140~200 nmの領域で液体,固体試料のスペクトル測定を可能とする装置の開発に成功した.その装置は減衰全反射(attenuated total reflection : ATR)法を用いて吸収ピークも正確にスペクトルを観測することを可能とするもの...

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Published in分析化学 Vol. 61; no. 7; pp. 591 - 603
Main Authors 森澤, 勇介, 立花, 慎, 泰永, 愛佳, 光岡, 基樹, 佐藤, 春実, 池羽田, 晶文, 東, 昇, 尾崎, 幸洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2012
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Summary:遠紫外域(120~200 nm)には様々な電子遷移による吸収バンドが観測されるので,この領域は基礎研究からも応用の立場からも非常に魅力的である.しかしながら,これまで遠紫外域における液体,固体試料のスペクトル測定は,それらの非常に強い吸収ピークを含めた吸収強度フルスケールの吸収バンドを観測できる装置がなかったため極めて限られるものであった.著者らは140~200 nmの領域で液体,固体試料のスペクトル測定を可能とする装置の開発に成功した.その装置は減衰全反射(attenuated total reflection : ATR)法を用いて吸収ピークも正確にスペクトルを観測することを可能とするものである.本総合論文では最初に遠紫外分光の基礎と特色について概説し,そのあとATR–遠紫外分光器の開発とその分析化学への応用について述べる.最後にATR–遠紫外分光器をさらに発展させた時間分解ATR–遠紫外分光器の開発について解説する.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.61.591