塩基性溶離液を用いるイオンクロマトグラフィーによる水耕栽培用液体肥料中のイオン性栄養塩類の同時モニタリング

本研究では,塩基性溶離液(NaOH)と強塩基性陰イオン交換樹脂分離カラムを組み合わせた液体肥料中のイオン性栄養塩類(K+,NH4+,NO3−,NO2−,HPO42−)の同時分離定量法を応用し,水耕栽培における液体肥料中のイオン性栄養塩類の濃度変動に関するモニタリングと施肥管理を試みた.その結果,本法の適用により,水耕栽培において用いる液体肥料中の主要イオン性栄養塩類であるK+,NO3−,HPO42−の変動に関するモニタリングが可能であった.また,水耕栽培における液体肥料の一般的なモニタリング法である電気伝導度やpH測定では得られなかった液体肥料中の栄養塩組成やその組成の変化などが詳細に把握可能...

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Published in分析化学 Vol. 73; no. 6; pp. 273 - 279
Main Authors 小﨑, 大輔, 久保野, 智尋, 古賀, 十冴, 光井, 優太, 宇賀, 悠貴, 佐合, 悠貴, 藤原, 拓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2024
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Summary:本研究では,塩基性溶離液(NaOH)と強塩基性陰イオン交換樹脂分離カラムを組み合わせた液体肥料中のイオン性栄養塩類(K+,NH4+,NO3−,NO2−,HPO42−)の同時分離定量法を応用し,水耕栽培における液体肥料中のイオン性栄養塩類の濃度変動に関するモニタリングと施肥管理を試みた.その結果,本法の適用により,水耕栽培において用いる液体肥料中の主要イオン性栄養塩類であるK+,NO3−,HPO42−の変動に関するモニタリングが可能であった.また,水耕栽培における液体肥料の一般的なモニタリング法である電気伝導度やpH測定では得られなかった液体肥料中の栄養塩組成やその組成の変化などが詳細に把握可能であった.加えて,液体肥料の使用期間が長くなるほど,イオン性栄養塩類の組成は初期のそれからずれることも示された.以上のことから,pH及び電気伝導度センサーに代替できるイオン性栄養塩類のモニタリング法としての本法の有用性が示された.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.73.273