モノカインによるメサンギウム細胞の増殖促進

慢性に進行し腎不全に陥るいわゆる慢性腎炎の多くは, 組織学的に糸球体メサンギウム細胞の増殖とメサンギウム基質の増加に特徴づけられ, メサンギウム増殖性糸球体腎炎に分類されている1). メサンギウム細胞は, 糸球体の輸入, 輸出動脈の平滑筋細胞と連続した細胞で糸球体の毛細血管を支持している. そのうえ, 細胞質はアクチンに富み, 糸球体毛細血管基底膜との間に接着構造を持ち, アンギオテンシンIIなどの血管平滑筋収縮物質で収縮することから, 生理学的にも糸球体微小循環や濾過などの調節に重要な役割を演じていると考えられている2). メサンギウム増殖性糸球体腎炎におけるメサンギウム細胞と基質の過剰な増...

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Published in炎症 Vol. 10; no. 2; pp. 103 - 108
Main Authors 山本, 格, 屋尾板, 永信, 川崎, 克俊, 木原, 達
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 1990
日本炎症学会
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Summary:慢性に進行し腎不全に陥るいわゆる慢性腎炎の多くは, 組織学的に糸球体メサンギウム細胞の増殖とメサンギウム基質の増加に特徴づけられ, メサンギウム増殖性糸球体腎炎に分類されている1). メサンギウム細胞は, 糸球体の輸入, 輸出動脈の平滑筋細胞と連続した細胞で糸球体の毛細血管を支持している. そのうえ, 細胞質はアクチンに富み, 糸球体毛細血管基底膜との間に接着構造を持ち, アンギオテンシンIIなどの血管平滑筋収縮物質で収縮することから, 生理学的にも糸球体微小循環や濾過などの調節に重要な役割を演じていると考えられている2). メサンギウム増殖性糸球体腎炎におけるメサンギウム細胞と基質の過剰な増加は, 構造的に糸球体毛細血管腔を圧迫し, 糸球体濾過面積を減少させるとともに, メサンギウム細胞の生理学的機能も障害し, 糸球体濾過障害, 最終的には腎不全へと進展させる重要な要因と推定される3).
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.10.103