メチルパラチオン計測のための表面プラズモン共鳴イムノセンサーの開発

表面プラズモン共鳴現象(SPR)を利用したオンサイトで簡便に残留農薬を計測できるフロー型イムノセンサーの開発を目的とし,メチルパラチオン(MP)の間接競合イムノアッセイ法を確立した.牛血清アルブミン(BSA)にMPを化学結合したMP-BSAコンジュゲートをSPRセンサーチップ上に物理吸着によって固定化し,これをフローシステムに組み込み,MPに対する応答性を検討した.SPRセンサーチップは,50 ppm MP-BSAコンジュゲート溶液をセンサーチップへ導入し,続いて10 mg/mL BSA溶液を導入し,非特異吸着を防ぐために未修飾のチップ表面をブロッキングして作製した.MP-BSAコンジュゲート...

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Published in分析化学 Vol. 56; no. 9; pp. 705 - 712
Main Authors 田中, 真由美, 阪本, 一平, 中嶋, 秀, 宗, 伸明, 中野, 幸二, 今任, 稔彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2007
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Summary:表面プラズモン共鳴現象(SPR)を利用したオンサイトで簡便に残留農薬を計測できるフロー型イムノセンサーの開発を目的とし,メチルパラチオン(MP)の間接競合イムノアッセイ法を確立した.牛血清アルブミン(BSA)にMPを化学結合したMP-BSAコンジュゲートをSPRセンサーチップ上に物理吸着によって固定化し,これをフローシステムに組み込み,MPに対する応答性を検討した.SPRセンサーチップは,50 ppm MP-BSAコンジュゲート溶液をセンサーチップへ導入し,続いて10 mg/mL BSA溶液を導入し,非特異吸着を防ぐために未修飾のチップ表面をブロッキングして作製した.MP-BSAコンジュゲートのセンサーチップへの固定化密度を,飽和吸着量の約20% として作製したセンサーチップを用いて,間接競合法により60 ppm抗MP抗体を含むMP溶液(1~5000 ppb)をSPRセンサーに導入し,SPRセンサーの共鳴角度変化を測定した.本法によるMPの検出限界は,MP濃度ゼロにおける角度変化の85% におけるMP濃度とすると,10 ppbであった.また,ペプシンを含むpH 2 HCl-glycine溶液をセンサーチップに導入することによって,センサーチップ上のMP-BSAコンジュゲートと結合した抗MP抗体を解離させることができ,1枚のセンサーチップを用いて少なくとも20回繰り返し測定が可能であることが分かった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.56.705