組合せ計量機の数理モデル化による性能評価

ピーマンやポテトチップスのように,原料による重量ばらつきの大きい食品生産の現場では, 規定量の袋詰め(充填)に組合せ計量機が使われる.組合せ計量機はホッパと呼ばれる十個程度の小さな箱に小分けにして計量物を投入し,各計量値の組合せの中から規定量に適合するものを見つけて充填する.その歩留まりと稼働率は現場の主要関心事である.本論文は,組合せ計量機を素朴に数理モデル化し,ホッパ数ならびにホッパへの投入量の平均と分散に対する規定量適合の確率について議論する.具体的には,各ホッパへの投入量は独立に同一の正規分布に従うとして,規定量に適合する計量値組合せが存在する領域(実行可能領域)の生起確率(組合せ成功...

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Published in日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 Vol. 67; pp. 1 - 21
Main Authors 樽本, 祥憲, 来嶋, 秀治, 笛田, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会 2024
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Summary:ピーマンやポテトチップスのように,原料による重量ばらつきの大きい食品生産の現場では, 規定量の袋詰め(充填)に組合せ計量機が使われる.組合せ計量機はホッパと呼ばれる十個程度の小さな箱に小分けにして計量物を投入し,各計量値の組合せの中から規定量に適合するものを見つけて充填する.その歩留まりと稼働率は現場の主要関心事である.本論文は,組合せ計量機を素朴に数理モデル化し,ホッパ数ならびにホッパへの投入量の平均と分散に対する規定量適合の確率について議論する.具体的には,各ホッパへの投入量は独立に同一の正規分布に従うとして,規定量に適合する計量値組合せが存在する領域(実行可能領域)の生起確率(組合せ成功確率)を求めたい.実行可能領域は非凸であり,組合せ成功確率の計算は組合せ論的な難しさをもつ.本論文は,精度保証も考慮してモンテカルロ法を採用し,ホッパ数およびホッパへの投入量の期待値と分散について網羅的に組合せ成功確率を計算して,実データと比較する.現場では経験的に,ばらつきは大きい方がよいとされるが,本モデルの計算結果から,投入量分散が小さいとき,組合せ成功確率は投入量期待値の変化に対して敏感で,すなわち経験知を支持する.
ISSN:1349-8940
2188-8280
DOI:10.15807/torsj.67.1