オセアニアの住宅建築および住宅地計画に関する研究

本研究は,18世紀以来,短期間の内にめざましい発展を遂げたオーストラリアおよびニュージーランドにおける住宅建築と住宅地計画を研究対象とする。周知のように,オセアニアの住宅および住宅地計画は,イギリスやアメリカといった国々からの影響を強く受けながらも,豊かな自然や広大な国土といった特有の風土,気候,またそこから生まれた新たな生活様式に対応する形で独自の発展を遂げた。しかしながら,日本ではオセアニアの住宅を対象とした研究は,これまでほとんどなされてはいない。本研究は,実地調査および現地での資料収集を基にまとめられている。実地調査は1990年10月から11月にかけて約1か月間,オーストラリアにおける...

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Published in住宅総合研究財団研究年報 Vol. 18; pp. 299 - 308
Main Authors 小林, 克弘, 安藤, 貴昭, 岡本, 美樹, 佐々木, 龍郎, 中沢, 健, 姜, 鎬元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般財団法人 住総研 1992
Housing Research Foundation "JUSOKEN"
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ISSN0916-1864
2423-9879
DOI10.20803/jusokennen.18.0_299

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Summary:本研究は,18世紀以来,短期間の内にめざましい発展を遂げたオーストラリアおよびニュージーランドにおける住宅建築と住宅地計画を研究対象とする。周知のように,オセアニアの住宅および住宅地計画は,イギリスやアメリカといった国々からの影響を強く受けながらも,豊かな自然や広大な国土といった特有の風土,気候,またそこから生まれた新たな生活様式に対応する形で独自の発展を遂げた。しかしながら,日本ではオセアニアの住宅を対象とした研究は,これまでほとんどなされてはいない。本研究は,実地調査および現地での資料収集を基にまとめられている。実地調査は1990年10月から11月にかけて約1か月間,オーストラリアにおける主要な地域のかなりの部分を対象に行なわれ,約400件の住宅を見,かつ写真として記録した。また集めた文献資料は,書物にして100点,パンフレット類で300点を数える。本研究テーマに関しては,様々な角度から検討,分析を進めたが,今回の研究では,特にオーストラリアの18世紀末から19世紀末までの住宅を対象とし,その様式的発展を考察した内容を整理してある。というのも,オーストラリアの住宅に関する従来の研究では,イギリスやその他の国々からの影響については触れられているものの,個々の作品に関する造形面,様式面での分析はおおよそ不十分だったのである。すなわち,様々な様式が,オーストラリアにどのような形で移植され,またオリジナルの作品に対していかなる変形を見せたのかといった問題に対する考察が明快になされていないのである。こうした立場から,今回の研究報告では,代表的な建築家および作品を実例としつつ,具体的な考察,分析を行なうことにより,オーストラリアの住宅建築の造形的,様式的特徴を明らかにすることを試みた。
ISSN:0916-1864
2423-9879
DOI:10.20803/jusokennen.18.0_299